買い物かごで海洋プラごみ削減 奈良県生駒市拠点の工具箱メーカー、万博で会場で使用

大阪・関西万博の運営参加協賛企業(物品の無償提供で協力)の工具箱メーカー「リングスター」(本社=大阪市城東区、営業本部・製造拠点=奈良県生駒市北田原町)が14日、県庁を訪れ、山下真知事らに万博会場のオフィシャルストアで買い物かごとして使用される同社の海洋プラスチックごみ配合製品「対馬オーシャンプラスチックバスケット」を説明し実物を披露した。
バスケットは、高耐衝撃性ポリプロピレンに長崎県対馬市の海岸で回収されたポリエチレン製タンクの粉砕素材を10%の割合で混ぜて成形。会場用として容量が27リットルのタイプ(長さ465ミリ、幅385ミリ、高さ280ミリ)と16リットルのタイプ(万博用の特注サイズ)を600個ずつ提供する。
海洋ごみの現状や対策などについて学ぶため、同社役員が2022年9月に同海岸を訪れてスタディ・ツアーに参加したのが開発のきっかけ。年間約3万~4万立方メートルといわれる同海岸の漂着ごみのうち、ノリ養殖の薬剤入れなどとして使用される外国製のポリエチレン製タンク約2万個の削減に少しでも協力しようと、既存バスケットの素材を変更する形で23年4月に商品化した。バスケット10個を作るとポリタンク約1個分が削減できるという。
また同商品で使用する海洋プラごみ100グラムにつき100円を対馬市へ寄付する活動も同時に開始し、24年12月までに約832キロのごみ削減分に相当する約83万円を寄付した。
同社の唐金吉弘社長は「万博の方向性がわれわれが目指す製品づくりの考えと合致し協賛することにした。(同型の)既存バスケットの2倍以上の値段で当社としても利益がほとんど出ない製品だが、われわれの活動に共感していただける企業などが購入してくれている」と説明。
山下知事は「難しい課題に果敢にチャレンジし、企業としての社会的責任を果たそうとする意気込みが素晴らしい。万博を通じて環境に配慮した企業の取り組みが世界へ広がれば」と期待を寄せた。
同製品の容量27リットルタイプは1個2970円(税込み)。釣具店やアウトドア用品店、同社ホームページなどで販売している。