ウナギを題材にした歌が万葉集にある。「…
ウナギを題材にした歌が万葉集にある。「石麻呂(いはまろ)にわれ物(もの)申(まを)す夏痩(やせ)の良(よ)しといふ物そ鰻(むなぎ)取り食(め)せ」(大伴家持)。
訳は「石麻呂に私は申し上げたい。夏痩せによいというものですよ。ウナギをとって召し上がりなさい」。ウナギの栄養価の高さは奈良時代から知られていた(県民だより奈良・平成28年7月号から)。
もっとも、スタミナ食として夏の土用丑(うし)の日に結び付けられるようになったのは、江戸時代かららしい。発明家、平賀源内発案という説が有名だ。
かつて丑の日になると、わが社でうな丼の注文回覧が回ってきたのを思い出す。もりもりと元気が湧いた気がしたものだが、昼食代としては奮発したので興奮していたせいかも。
昔から廉価な食材ではなかったが、稚魚が不足しているせいで近年、ウナギの値は右肩あがり。食品加工会社「うな源」が、中国産を国産と偽装した要因の一つだろう。
偽装は、少なくとも令和2年4月から同年11月まで、うな丼など約16万個と莫大。失った信用は無限大である。(栄)