音羽山観音寺後藤住職の花だより - 住職の台所はいろんなものが干してある
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2月中旬、冬休み中の奈良県桜井市にある音羽山観音寺。門は閉まっていて、参拝者の姿もありませんが、後藤住職にはいろいろとすることがあるようで…。
この日の取材も、ストーブで部屋を暖かくした台所。住職の作業場です。壁についている扇風機が回っていました。
「切り干し大根を作ろうと思って。扇風機で乾かしているのよ」
扇風機の風の先に、確かに大きなザルが置かれています。中には切った大根がたっぷり。大きめの大根2本分だそうです。
「もらった大根を家の中の窓際に置いていたら、真っ白に凍っちゃって。急いで作ったのよ」と住職。
玄関の中も、取材の前の週はマイナス3度になっていたそう。玄関に生けてある花の水が凍ったそうです。大根は凍っても大丈夫とのこと。台所にははりのように棒が渡してあり、そこにもザルがつられています。
「こっちは1週間ぐらい前から乾かしてるの」
聞いてみると、部屋ではほかにもいろいろ干されているようです。大根のほか、シイタケや、オレンジ色の何かも干されていました。
「陳皮(ちんぴ)って知ってる~」
住職からの問題です。漢方らしき名前は、聞いたことはありますが……。
「ミカンの皮よ。乾燥したら陳皮。八味唐辛子に入れるのよ」
オレンジ色の何かは、ミカンの皮だったようです。もう一つ、不思議なものが干されていました。
「干しバナナよ。10年以上前に、山に登る人に教えてもらったの」
バナナを黒くなるまで待って皮をむき、そのまま干すそうです。水分がなくなって縮みますが、日持ちもして保存食によく、山に登る人にはゴミもラップだけになるため良いとのことです。前に作ったものをいただくと、弾力のある歯ごたえに、香ばしさを感じる食べたことのない味のバナナでした。
「教えてもらったら、すぐ何でもやってみようと思うのよ」
別の部屋にも、ヤマトトウキやウイキョウ、バジル、エゴマの葉や実などのハーブを干しているとのこと。観音寺で作られる香草塩や八味唐辛子に使われます。
「いつも何かぶら下がっているわね。ないと寂しいのよ」
住職の冬休みは、とっても忙しく過ぎていくようです。
音羽山観音寺
山の中にある尼寺。桜井市南音羽。
JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。
火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門