奈良県斑鳩町・法隆寺 聖徳太子像の座具「褥」を約200年ぶりに復元新調 享保年間の奉納品が現代に
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奈良県斑鳩町法隆寺山内の法隆寺で13日、聖霊院に祭る聖徳太子像(平安時代・国宝)の座具=褥(しとね)=を約200年ぶりに復元新調し、取り替えた。同寺では、聖徳太子の1400年遠忌展覧会で同像を移動した際、褥の傷みが見つかったため復元を検討。昨年2月に文化財畳技術保存会理事長で畳工師の磯垣昇さん(74)=京都市=に製作を依頼、今年1月に完成した。
復元した褥は、「繧繝縁(うんげんべり)」の中央に菊、周囲に亀甲、松竹、鶴などの図柄を織り込んだ白い絹地に唐草文様の刺繍(しゅう)を施した天皇用の褥の特徴を持つ色鮮やかで美しい模様。大きさは1辺の長さが82センチ。同じ模様の褥が2枚保管されていた木箱の蓋表裏には墨書銘があり、「霊元天皇(第112代天皇)が崩御された翌年の1733(享保18)年に御遺物として奉納された」という内容が同寺の文書にも残されているという。復元した磯垣さんは「へり幅に合わせて4隅に唐草の枝の刺繍をもって来るのが大変だった」と時間のかかる緻密な作業を振り返った。
この日、聖霊院では2月22日の聖徳太子命日法要に合わせ、作業員らによって厨子が開けられて太子像が前に出され、古い褥を取り出して復元された新しい褥が設置された。
古谷正覚住職は「(褥の)傷みが気になっていたので、美しい褥にお座りになっていただきうれしい。新たな気持ちでお参りできる」と話した。