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能登半島へボランティアに行く男性の話 「誰にでもできることじゃないわね」 - 音羽山観音寺後藤住職の花だより

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庭の手入れをする住職

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 奈良県桜井市にある尼寺「音羽山観音寺」を記者が訪ね、後藤密榮住職の日々の暮らしぶりを紹介します。観音寺には全国各地からいろいろな人が訪れます。9月になったばかりのこの日、山を登ってきたのは、長野県在住の男性。歯医者さんでしたが今は引退し、これから能登地方にボランティアに行くそうです。住職と一緒に、ボランティア活動について聞きました。

 

 住職と無量庵で話していると、住職の家族であるオサムの鳴く声が聞こえてきました。

 

 「この鳴き方は、誰か来たわね」

 

 鳴き方でどんな来客かもわかるようです。そういえば、この日は暑さのせいか、記者がたどり着いた時、オサムは小屋の奥に入ったままで鳴きませんでした。春から登り始めて半年ほど。ようやく覚えてもらえたのでしょうか。

 

 本堂に向かった住職を追いかけて、記者も本堂に行くと、住職と男性が親しげに話しています。聞くと、数年前からやり取りのある男性とのこと。長野県の元歯医者さんで、今は引退しているそうです。これから能登地方にボランティアに行くと言います。

 

 男性は、正月の地震の後、3月中旬ごろから合計30日ほどボランティアに通っているそうです。ボランティアでは、関西の人もいて楽しく活動していること。被災地ではまだまだ自宅に帰れない人も多く、話す機会がなく話をしたい人が多いこと。88歳の元看護士の女性が、ネコを飼いながら3食自分で作っていて、それが生きるモチベーションになっていることなどを話してくれました。相手に寄り添うとはどういうことか、現場で教わることも多いと言います。

 

 「最後に(被災者が)ニコッとしてくれたら。そのために行っているようなもの」と男性は言います。

 

 「誰にでもできることじゃないわね」と住職は男性にエールを送っていました。

 

 男性は、震災から9カ月経ち、報道も少なくなって忘れられているのではないかと危惧していました。

 

 観音寺では本堂の中で義援金の募金も行い、赤十字を通じて被災地を支援しています。

 

 「自分のできることをしなきゃね」

 

 男性は住職と薬草の話をよくするそうです。ヤマトトウキやゲンノショウコなど、観音寺には薬草もたくさんあります。

 

 まもなくギンナンの季節を迎える青々としたイチョウが男性を見送りました。

 

 

 

音羽山観音寺

山の中にある尼寺。桜井市南音羽。

JR・近鉄桜井駅下車、桜井市コミュニティバス談山神社行、下居下車、約2km。

火曜日閉門。17日の御縁日が火曜日の時は開門、翌日閉門

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