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人生100年健やかに生きる~体育・スポーツとともに~(39) - 北 良夫(93)

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「いい汗、いい友、笑顔でふれあい」をスローガンに活動している「大和ふれあいスポーツクラブ」。写真は2010年の設立委員会の様子。

生涯スポーツ社会を目指す取り組み

日々を豊かにする文化

 3月ともなれば地域各地でスポーツの催しが活発化し、様々なスポーツ行事が繰り広げられる。

 

 20世紀の日本のスポーツは「より速く、より高く、より強く」に対して、21世紀は「より広く、より楽しく、より長く」を望む時代に向かっている。2000年にスタートした「日本のスポーツ振興基本計画」は、国民の誰でも体力、年齢、技術、関心に応じて「いつでも、どこでも、いつまでも」スポーツができる生涯スポーツ社会の実現を目指している。具体的な取り組みとして、国民の4人に1人が週1回スポーツができる環境を目指して発足したのが、総合型地域スポーツクラブである。25年の歳月が経ってその成果はまだ半ばと言わざるを得ない。

 

 奈良県における取り組みも04年に総合型地域スポーツ支援センターが設置されて、関係者の努力で現在は準備中を含めて、全市町村に70余のスポーツクラブが活動している。その内容も様々である。

 

 先日「NPO法人大和ふれあいスポーツクラブ」から、3月末に開催される「大和ふれあいリレーマラソン」の案内が届いた。会場は大和郡山市まほろば健康パーク。1チーム2~5人編成で3時間リレーマラソンをはじめ、1~2キロの子どもマラソンなど多種別で、家族がそろって参加して終日楽しむ行事となっている。主催者の大和ふれあいスポーツクラブの理事長、楠原徳明さんは、クラブ会員にモットーとして、「いい汗、いい友、笑顔でふれあい」と呼びかけている。

 

 スポーツへの参加に当たって、上手、下手、強い弱いの先入観があって、仲間入りを躊躇(ちゅうちょ)することが多分にある。

 

 市町村各地にスポーツが広がり、参加の機会が整いつつある昨今ではあるが、スポーツを文化として意識を持つところまでには至っていない。豊かな生活は誰もが望むところであり、地域にスポーツが広がり、生活が豊かになるためにスポーツがあるという理解が広がることを期待するところである。

 

 これまで日本の学校の課外活動では「文化部と運動部」に分かれて、スポーツは「運動部」と呼ばれて、文化ではないとの誤解が植え付けられてきたきらいがある。「いい汗、いい友、笑顔でふれあい」のスローガンは、まさに生涯スポーツが求める、日々の生活を豊かにする目標である。スポーツは好きな人だけが趣味でやるものではない。楽しい、面白いは、見る、支えるといった人たちにも受け入れられ、生きがいのある人生を得るための必需品とも言えるものである。

 

 「スポーツは楽しく 勝利はそのあと」(3月4日付読売新聞掲載、影山雅永・日本サッカー協会技術委員長のコラム)では、「サッカー先進国ではスポーツを遊び、楽しむ『ファンスポーツ』層を増やすことが、トップの競技力向上につながっている。しかし日本にはスポーツを楽しむ考えが欠落している」と述べられている。

 

=原則第4土曜日掲載(今回は紙面制作の都合で第5土曜日の掲載になりました)=

 

 

2025年3月29日付・奈良新聞に掲載

 

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