【速報】東大寺講堂・三面僧坊跡 建物規模物語る礎石 3回の火災痕跡も確認 - 奈良市

奈良市雑司町の東大寺は19日、講堂・三面僧坊跡の発掘調査で、僧侶が生活した僧坊の礎石12基を検出したと発表した。文献に記録が残る平安時代と戦国時代の計3回の火災痕跡も確認。2回の再建時には奈良時代の創建時とほぼ同じ場所で建て直していたことも分かった。同寺は「僧坊としては大きな礎石で大規模な建物だったことが分かる」としている。
講堂・三面僧坊は大仏殿の北側に位置し、三面僧坊は講堂の北東西の三方を「コ」字形に囲むように建っていた。
同寺は2022年度から、川による浸食で礎石が露出していた僧坊の遺構を保護するため護岸工事を実施。24年度の工事前の調査として、同寺と奈良文化財研究所、県立橿原考古学研究所でつくる発掘調査団が、講堂東側の僧坊推定地、川の延長約90メートル分を調査した。
その結果、東西11・7メートル分の礎石5基と、南北30・6メートル分の礎石7基を確認した。礎石上面に円形に造り出した「柱座」の直径は約90センチあり、その上に建っていた柱は直径60センチほどあったと推定できるという。
礎石の周囲では、焼土や炭が堆積した3回の火災痕跡が見つかった。文献に記録がある、平安時代の917(延喜17)年と、平重衡(しげひら)の南都焼き討ちがあった1180(治承4)年、戦国時代の1508(永正5)年の火災跡と考えられる。
礎石は場所を動かした痕跡がなく、延喜と治承の火災後の再建はどちらも創建時と同じ場所を踏襲していた。
現地説明会を21日に開催する。午前9時半~午後3時半。小雨決行。駐車場はない。