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奈良を盛り上げたい 県初3×3プロチーム結成に貢献 - 奈良グレートブッダーズ 中野龍一郎代表

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練習場で選手とミーティングする奈良グレートブッダーズの中野代表(左から2人目)=天理市立北中学校体育館

 東京五輪で正式種目となった3×3(スリー・エックス・スリー=3人制バスケットボール)は、Bリーグのバンビシャス奈良に所属する藤高宗一郎が日本代表候補入りしたことなどで、県内でも注目された。そんな中、奈良に初のプロチーム「奈良グレートブッダーズ」が誕生し、昨シーズンから3×3リーグの「3×3UNITED(ユナイテッド)」に参戦している。チームの中野龍一郎代表に誕生の経緯を聞いた。(有賀哲信)

 

恩師の試合きっかけに

 奈良に3×3のプロチームが誕生したのは、ちょっとした偶然の重なりがきっかけだった。中野代表は子どもの頃から野球に親しみ、進学した県立磯城野高校でも硬式野球に打ち込んでいた。

 

 同校で3年間、担任となった教師が3×3の選手としても活躍。中野代表はクラス長を務めていたことから親しくなり、卒業後も交流が続いた。

 

 2018年に高校を卒業し、映像制作の会社に就職するため上京。その年に恩師から「東京で試合がある」と連絡を受け、会場がたまたま中野代表が住んでいた場所に近かったため観戦に訪れた。それが3×3との出会いとなった。

 

 それ以降も、恩師の試合がある時は観戦に訪れたものの、あくまでも「知人が出るから見に行く」程度の認識だった。それが、自らでチームを作ることになるのは、中野代表が2年前に奈良に戻ってきてからのことだ。

 

 映像制作の会社を興し、仕事を軌道に乗せようとまい進していた時、久々に恩師と会って食事する機会があった。その時、「関西では奈良と和歌山だけプロがない」と聞かされた。

 

 それまで何となく観戦していた3×3の試合会場の熱狂が脳裏によみがえった。「奈良に3×3のチームがあれば地域をもっと盛り上げることができるのではないか」。他のプロリーグと違ってチームを作るハードルもそう高くなかった。リーグ戦が直接、世界大会につながっていることも魅力だった。

 

 そう思ってからの中野代表の行動は早かった。2023―24シーズンには3×3UNITEDに準レギュラーとして参戦し、「奈良から世界へ」をスローガンに、今シーズンからは正式加盟で戦っている。

 

 中野代表は「最も苦労したのが選手集め」と話す。「野球しかやってこなかったのでバスケットボールの選手とは交流がなかった」と、最初は国体出場経験のある選手など、選手間のつてをたどって集めていった。現在は、バンビシャス奈良に所属経験のある玉井健介や、ファイティングイーグルス名古屋(現B1)に3シーズン在籍した会田太朗など、練習生を含め12選手を擁する。

 

 新参のチームながら選手層は厚いが、完全にプロ化していないため、仕事をしながらの選手生活とならざるを得ず、練習もままならない状況が続く。しかし、中野代表は「苦労しながらでも世界を目指せるんだというところを見せたい」と逆境を力に変える。

 

 3×3のチームが奈良に誕生するきっかけとなった中野代表の高校時代の担任は、実は現在も選手生活を続けている。兵庫県を拠点にする「EPIC」の浦西将介がその人だ。同チームは奈良グレートブッダーズと同じく3×3UNITEDのセントラルウエストに所属する。新しい道を切り開くきっかけとなった恩師が、今はライバルとして大きく立ちはだかる。

 

2024年6月19日付・奈良新聞に掲載

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