介護を知ろう - 小学校で広がる取り組み【ふりがな付きニュース】
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みなさんは介護と聞くと何を思いうかべますか?
食事を食べさせる、おむつを替える…。たくさんありますが、どれも「困っている人の手伝いをする」仕事です。年を取ると手助けが必要な人が増えます。
日本ではお年寄りが増えていますが、介護の仕事をする人は足りません。授業を通して、子どもたちに介護の仕事に興味を持ってもらうための取り組みが始まっています。
昨年10月、北九州市の花房小学校では、小学4年生全員が介護の仕事について学びました。教えるのは介護施設の職員です。体育館にはお年寄りがベッドから車いすに移る時などに体を持ち上げるリフトが持ちこまれました。
「介護する人が腰を痛めないようにするため」と職員が説明。リフトに乗った職員の体がふわりと持ち上げられると「わー」と子どもたちから歓声が上がりました。その後交代でリフトを体験。「何キロぐらいの人までだいじょうぶですか」などの質問も出ました。
やわらかい「介護食」も試食しました。お年寄りになると硬い物がかめず、のみこみにくくなります。食べたのは卵とサケのすしをムース状にした介護食。「おいしい」「後味がいい」など好評でした。
車いすを交代で押したり、ゴーグルや重りなどを着けて歩いたりする〝高齢者体験〟もしました。施設の責任者は「介護の仕事を通じて、人にやさしくすれば人はやさしくしてくれることを学んでほしい」と言います。
介護食を食べる子どもたち=2023年10月、北九州市の花房小学校
埼玉県鳩山町の今宿小学校5年生は認知症のお年寄りが暮らすグループホームを訪問。いっしょにゲームをしたり、風船遊びをしたりしました。子どもたちからは「楽しかった」といった声が多く、職員からは「お年寄りが生き生きとした表情になった」といった感想が聞かれました。
認知症グループホームでお年寄りと遊ぶ子どもたち=2023年11月、埼玉県鳩山町
認知症、接し方で変わる 専門家がアドバイス
介護の仕事をするには、年を取ると増える認知症のことをよく理解する必要があります。
横浜市の権太坂小学校では昨年、6年生が認知症の授業を受けました。
「ものを忘れる」「ご飯を食べたことを覚えていない」「歩き回る」…。介護福祉士の杉本浩司さんが認知症について知っていることを聞くと、いろいろな例が子どもたちから出されました。
杉本さんは「ヒントを出したら思い出せるのがふつうの物忘れで、思い出せないのが認知症」と説明します。
「混乱して毎日パニックになっていると想像してみて。お年寄りの気持ちになって不安にならないように接していけばおだやかに暮らせるようになります」と杉本さん。
子どもたちからは「認知症になったら治らないと思っていたけど、ケアで変わることが分かった」「おばあちゃんが認知症になりかけているので、家族で話し合ってみたい」などの声があがりました。
介護福祉士が教える認知症の授業=2023年9月、横浜市の権太坂小学校
🖊記事を読んで考えてみよう~家族や先生、友だちと話し合ってみるのも良いですね~
あなたの家族がもしも認知症になり、ご飯を食べた直後に「ご飯はまだ? お腹がすいた」と言ったら、あなたは、どのように対応しますか。権太坂小学校6年生が受けた授業の中で、介護福祉士の杉本さんが話したことを参考に考えてみましょう。