【エンジョイ!スポーツ】子どもからシニアまで やればやるほど奥が深く - ペタンク

野球やサッカーなどのメジャースポーツ以外にも、奈良県内では多種多様な競技が多くの人々に楽しまれている。その中の一つ、ペタンクは、直径7・05〜8センチ、重さ650〜800グラムの金属製のボール(ブール)を、ビュットと呼ばれる目標球(直径3センチ、樹脂または木製)を狙って投げ合い、ビュットまでの近さを競う競技。ブールとビュット、4×15メートル以上の広さのコートがあればプレーでき、また立ち止まった状態でボールを投げるため、子どもからシニアまで(11歳以下の場合は直径6・5センチ、重さ600グラムのブールを使用)、また車イスでも行えるなど、誰もが気軽に楽しめるスポーツとして人気を集めている。
■状況は1球ごとに変化
投球は直径35〜50センチの投球サークルの中に立って行い、シングルスは3球、ダブルスは1人3球ずつのチーム計6球、トリプルスは1人2球ずつのチーム計6球で対戦する。
まずジャンケンなどで決めた先攻がビュットを投げ、続けて第1投を行う。その際、ビュットが投球サークルの先端より6〜10メートルの距離でなければ失敗となり、3回失敗すると相手の先攻となる。後攻が第2投を投げ、その次からはビュットからより遠い方が投球を行う(一方が投げ終わった場合は、もう一方が残りのブールを全て投げる)。
味方ブールを押し込んだり相手ブールを弾き飛ばすことなどもできるため、状況は1球ごとに変化していく。両者が投げ終えた時点で、ビュットに最も近いブールのチームがそのメーヌ(セット)の勝者となり、敗者チームの最も近いブールよりもビュットに近いブールの数が得点に加算される(相手よりも近いブールが3球あれば3点加算)。それを繰り返し、規定の得点に先に到達したチームの勝利となる。不利な状況でも、ビュット自体もブールを当てて移動させることが可能で、さらにコート外に弾き飛ばすことができればそのメーヌが最初からやり直しとなるため、技術に加え状況に応じた戦略も重要となる。
■語源は「両足をそろえる」
発祥は1910年頃の南フランス。助走して投球するプロヴァンサルというゲームが立ち止まって行うように変化し、「両足をそろえる」という意味の南仏の方言「ピエタンケ」が語源と言われる。日本でも1970年代から普及し始めた。県ペタンク・ブール連盟には現在、県内各地の6団体・約120人が所属。またそれ以外にも各地に愛好者がおり、競技を楽しんでいる。
県連盟で事務局長を務める香芝市ペタンク協会の島田美幸さん(65)は県で上位の実力の持ち主で、全国大会を含めさまざまな大会で活躍している。競技の魅力について「子どももシニアも一緒に楽しめるシンプルさと、やればやるほど奥が深く、上達するほどに楽しみが増えていくところ」と話す。また「ぜひ若い人にも魅力を知ってもらえれば」と、小学校などにも働きかけているという。一緒に競技を楽しんでいる夫、島田武勇さん(70)も大会上位常連の実力者。「ペタンクを通じた人生の先輩、後輩とのふれあいから、人生勉強もさせてもらっている。夫婦二人で一緒に、元気にプレーできることへの感謝が何より大きい」とほほ笑む。
ペタンクに興味のある人は、県ペタンク・ブール連盟のホームページ(https://www.narakenn.com/)から問い合わせできる。(岩本淳)
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2023年12月20日付・奈良新聞に掲載