奈良県五條市長に就任した平岡清司さん(59) - ときの人
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保育園からの幼なじみと21歳で結婚し、2人の娘を育てながら地元で自営業。営む刺しゅう工場は、発注元の大手くつ下メーカー倒産で突然、廃業危機を迎えた日もあった。「本当に多くの人に支えていただいた」と振り返る。
自治会長を任されたとき「もう少し上に立てれば、ご恩返しできるのでは」と考えて市議会議員に。「市民と行政をつなぐ議員活動」を心がけ、2選目(2017年)はトップ当選。以後も信頼を裏切らず、市長選挙は持ち前の優しさで輪を広げた。
政策は二本立て。市民の暮らしに直結する身近な課題解決と、大阪府境の金剛山にトンネルを抜く国レベルの事業実現という“夢構想”を掲げる。初登庁の朝、市職員には「私だけの力では何もできない」と協力を求めた。国や県、他自治体と連携を深め、地域の振興を図るつもりだ。
大阪工業大学高校(現・常翔学園高校)の自動車科を卒業。車は今でも、走るのも修理も好きだ。日産のスカイラインGT―RやフェアレディZを中古で手に入れ、愛車にした時期も。名高いGT―Rはやはり「機会があればもう一度乗りたい車です」。
市長に選ばれ、「独走はしない。しっかり市民の声を聞き、皆さんとともに五條市を変える」と誓う。五條市は1957〜59年に9カ町村合併で発足し、2005年に平成の合併も経た。市民を幸せにする走りができるか。メンテナンスの腕の見せどころ。
ひらおか・きよし
1963(昭和38)年9月、五條市生まれ。大阪工業大学高校卒。市内の国民宿舎勤務などを経て刺しゅう業、中古車修理販売業、損保業。2013年11月から市議。3期目途中の昨年末で辞職し、元市議同士で争った市長選挙を制した。趣味はドライブ。孫3人。(木之下伸子)