洪水調整池の容量不足などを指摘 平群メガソーラー訴訟、奈良地裁で口頭弁論
奈良県平群町櫟原の山林への大規模太陽光発電所(メガソーラー)建設計画を巡り、景観の悪化や災害のリスクが高まるなどとして、計画に反対する町民ら約980人が事業者を相手取り、工事差し止めを求めた訴訟の第7回口頭弁論が2日、奈良地裁(寺本佳子裁判長)で開かれ、原告側が第10準備書面を提出した。次回口頭弁論は5月11日の予定。
原告側は、開発に伴う洪水調整池の容量不足などを指摘し、「防災設備が完備されない状態が継続している。被告には、広大な森林を伐採してメガソーラーを建設、施工する能力、資格を有しないことは明らか」と述べた。
同計画を巡っては、設計内容に誤りがあったとして2021年6月に県が工事を停止させた。その後、事業者から新たな計画が示され、今年1月の県の審議会で承認されたが、原告らは洪水水量の計算の誤りなどを指摘し、慎重に審査するよう県に求めている。
弁論後、市内で開いた会見で原告団の代表世話人、須藤啓二さんは「時間をかけてしっかりと調査した上での開発なら理解できるが、計画があまりにずさん。県には慎重な審査を行うようお願いしているが、認められなければ県に対して訴訟を起こさざるを得ない」との姿勢を示した。