県都は政党対決か、各党擁立作業続く 奈良県議選 奈良市・山辺郡区(上)(定数11) - 選挙展望2023
立候補の顔ぶれは確定していないが、これまでに公認発表された政党別の内訳は、自民党4人(いずれも現職)▷立憲民主党2人(同)▷日本維新の会1人(新人)▷公明党2人(現職、新人各1人)▷共産党2人(いずれも現職)。政党の擁立作業はまだ続いており、維新は計3人の擁立を急ぐ。国民民主党も模索、昨年夏の参院選奈良県選挙区に初めて候補者を擁立した参政党も新人1人を立てる。さらに無所属・諸派の新人らの動きも活発だ。元奈良市議2人や、NHK、奈良テレビといったマスコミ出身者ら経歴も多彩で、早くも激戦が予想されている。
県都の戦いは毎回各党が駒を揃え、政党対決が前面に出るが、今回は自民党県連会長や県議会議長も務めたベテランが勇退を決める一方、無所属を含め30~50歳代の若手の動きが目立ち、世代交代が進むのか注目される。2007年7月から「奈良市・山辺郡区」に変更され定数も11となって以降、毎回3~5人超過の激戦区だが、今回はそれを上回り過去最多の出馬となる可能性が大きく、乱立模様。当落線上での大混戦が予想されている。
台風の目は、一昨年夏の奈良市議選で、公認4人全員が上位当選を果たし、昨年夏の参院選比例代表・奈良市区では自民に迫る得票で存在感を見せつけた維新か。前回は公認1人が2万2000票超えでトップ当選を果たしたが、党県総支部は今回、早い段階で3人の擁立を目標に掲げるなど強気の姿勢を示してきた。短期決戦の空中戦となる公算が強いが、市議選で地域を分ける手法が功を奏したことから、今回もその戦法を踏襲するとみられ、地盤を固める自民現職らと保守票を巡り、激しい争奪戦になりそうだ。
自民は、広い人脈を持ち高齢ながら安定した人気に支えられ11期務めたベテラン出口武男が引退を決意。2021年の県議補選で初当選した疋田進一が地盤を引き継ぐとみられるが、個人人気の高い出口票をどこまでまとめ上げられるか。支持が重なる池田慎久も積極的に票の取り込みを図る。
前党県連幹事長の荻田義雄は、前回引退した新谷こう一の地元・山添村や都祁地域にもこの間後援会組織を広げ、昨年11月には300人以上が参加し後援会役員会を開催。前回も2万票を獲得、地元の中西部に限らず東部にまで支持を広げる池田も後援会周りやミニ集会などこまめに市内を回る。初の本選出馬となる疋田は秘書を務めた堀井巌参院議員も側面から支援する。植村佳史も市議4期半と県議1期の実績を前面に、昨年夏ごろから駅立ち、秋ごろからはミニ集会とどぶ板選挙を徹底している。
維新は、前回トップ当選した中川崇が奈良市長選へ転戦し敗れたが、県議選への返り咲きを果たすべく、現在調整中とみられ、党県総支部は10日に公表の見通し。昨年のうちに唯一、党が公認を発表した新人松木秀一郎はこれまで、前川清成党県連代表らと街宣活動を展開。地元出身の強みを生かし人脈を通じて支持者回り。維新は残る新人の擁立を急ぐと見られる。(文中敬称略)