纒向学の論文集刊行 奈良県桜井市の市纒向学研究センター設立10周年で

邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向遺跡(国史跡、3世紀初め~4世紀初め)を調査・研究する市纒向学研究センター(同市三輪)が15日、設立10周年の記念論文集「纒向学の最前線」の刊行を発表した。A4判で計806ページにおよぶ大著。多様な分野の専門家らが筆を執り、「纒向学」の裾野の広さを象徴する一冊に仕上がっている。
纒向遺跡は、奈良盆地東南部の三輪山西側に広がる、東西約2キロ、南北約1.5キロの大規模集落遺跡。2009年には「卑弥呼の宮殿」と注目された大型建物跡が見つかった。発掘調査は20年度に200回に達し、21年には最初の調査から50年を迎えた。
論文集は、同センター研究員のほか、考古学、文献史学、民俗学、自然科学などの専門家ら計87人による85編を収録。日本と朝鮮半島で出土した遺物などからみる初期ヤマト王権の対外関係、万葉集などからたどる古代「マキムク」のイメージ、纒向遺跡出土の犬の骨の調査結果など、学問や専門領域の垣根を越えて取り組む「纒向学」の魅力が伝わる内容となっている。
松井正剛市長とともに市役所で会見した寺沢薫所長は、「纒向遺跡がいかに重要な遺跡であるかを知ってもらい、今後のセンターの活動に関心を寄せてほしい」と話した。
総事業費約350万円の全額を、ふるさと納税、クラウドファンディングによる寄付から充てた。非売品。600部刊行。今後、県内の公立図書館で閲覧できるという。