【ことなら'24春】藤原氏のルーツを探る 氏神まつる春日大社 - 源氏物語を巡る旅
奈良公園の鹿は神の使い
氏神は鹿島(茨城県)から白鹿に乗って奈良の地へ
春日大社は全国にある約3千の春日神社の総本社。710(和銅3)年、都が平城京に遷都される頃に創建。鹿島(茨城県)から藤原氏の氏神である武甕槌命(たけみかづちのみこと)が御蓋山(みかさやま)山頂に迎えられた。
後の768(神護景雲2)年、左大臣藤原永手が御蓋山中腹に社殿を造営し、香取(千葉県)から経津主命(ふつぬしのみこと)、枚岡(大阪府)から藤原氏の遠い祖先に当たる神天児屋根命(あめのこやねのみこと)・比売神(ひめがみ)を迎えて祭ったのが春日大社の始まり。
以来1300年間、天皇家と深いつながりのある藤原氏の氏神として大和国、日本全体の繁栄と幸せが祈られてきた。武甕槌命は白鹿に乗ってやって来たことから奈良公園の鹿は神の使いといわれ、境内にも多くの鹿が生息している。
春日大社の二之鳥居にたたずむ鹿
春日大社の見どころ
■本殿
二之鳥居を進み、朱色が美しい南門を入ると、幣殿(へいでん)前から参拝ができる。中門の奥にある本殿に近づいて参拝できる特別参拝もある。本殿には四柱の神々を祭る4棟の社殿がある。
■藤の花
藤原氏のシンボルの花として同社の社紋は「下がり藤」、境内には多くの藤が自生している。巫女(みこ)も藤の花の髪飾りを着けている。
名木「砂ずりの藤」は花房が地面にすれるほど伸びるということに由来。藤原氏の五摂家筆頭、近衛家が献木したと伝わり、樹齢は約800年とされる。見頃は4月下旬。境内に自生する藤のほか、「萬葉植物園」に植栽している20品種約200本も順次開花する。また同大社では藤の開花時季限定で「藤まもり」を授与している。
朱色が美しい本殿
藤原氏のシンボル藤の花。名木「砂ずりの藤」(2023年4月撮影)
春季特別展「―源氏物語の時代―平安王朝の栄華」8月4日まで国宝殿で
王朝文化 珠玉の一品摂関家、皇室が篤い信仰
藤原摂関家が当時の最高峰の技術とぜいを尽くして制作した古神宝類や美術工芸品を紹介する展覧会を国宝殿で開催中。8月4日まで(前後期入れ替えあり。後期展示は6月11日から)。
社殿に納められていた平安時代後期(12世紀)までさかのぼる王朝の神宝類や王朝文化を描く絵画作品から、藤原摂関家をはじめ皇室からの篤(あつ)い信仰をたどる。
藤原道長奉納と伝わる「素文鏡」(重要文化財・平安時代)や、藤原頼通奉納と社伝がある「瑠璃燈籠(るりとうろう)」など源氏物語を思わせる珠玉の一品が並ぶ。
開館時間は午前10時から午後5時まで。6月10日は休館。拝観料は一般500円、大高生300円、小中学生200円。問い合わせは春日大社、電話0742(22)7788。
藤原道長奉納と伝わる「素文鏡」(春日大社提供)
【メモ】
春日大社
住所:奈良市春日野町160
電話:0742(22)7788