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OSK日本歌劇団 新トップ翼和希就任記念公演「レビュー Road to 2025!!」24日まで上演中

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イザナギ、イザナミの国生みをイメージした第1部のオープニング。(左から)城月れい、千咲えみ、翼。(写真はいずれも11月20日のゲネプロで藤井博信=日本写真家協会会員=が撮影)

 

 

レビューの新境地ひらく

 OSK日本歌劇団のトップスター翼和希(つばさ・かずき)のトップ就任記念公演「レビュー Road to 2025!!」の公開ゲネプロ(通し稽古)が20日夕、クールジャパンパーク大阪TTホール(大阪市中央区)で行なわれた。第1部の日舞レビュー「四季彩」(尾上菊之丞 作・演出・振り付け)、第2部の洋舞レビュー「Shining Life」(麻咲梨乃 作・演出・振り付け)の2本立て。今年9月のトップ就任後初となる本拠地・大阪での翼主演公演は、新たな挑戦が詰まったレビューの新境地をひらく作品となっている。公演は24日まで。

 

 

第1部・壮大なテーマ伝える和のエンターテインメント

 第1部のテーマは「再生と破壊を繰り返す生命」。翼と千咲えみ(娘役トップスター)によるイザナギ、イザナミの国生みから、菩薩(朝香櫻子=特別専科)が導く魂の輪廻まで。壮大なテーマを、普遍の恋心を写す歌舞伎舞踊や、子孫繁栄、五穀豊穣など人々の願いがこもる祭りを盛り上げる和太鼓、各地に伝わる伝統行事「虫送り」に登場する「さねもりさん(斉藤実盛)」つながりから、宿命に散る悲劇の武将・木曾義仲を描く殺陣など、和のエンターテインメントで表現した。

 

第1部オープニングの翼(中央右)と千咲

 

京我りく(きょうが・りく)=太鼓の左=と椿りょう(つばき・りょう)=同右=の太鼓が夏の祭りを盛り上げる

 

(前列左から)華月奏(はなづき・そう)、白藤麗華(しらふじ・れいか)、椿

 

 無限の宇宙に誘うかのような神秘的な歌詞と音楽に包まれる感覚は、劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」第1部「光」(2022年、大阪松竹座、新橋演舞場)にも通じる。前衛的ともいえるテーマを幅広い観客に届くエンターテインメントを積み重ねて表現する尾上菊之丞の挑戦と、稽古につぐ稽古で作家の予想をも超えた完成度の高い舞台を実現するOSKの化学反応がまた一つ、和物レビューの新境地をひらいた。

 

木曾義仲を演じる翼

 

敵の刃で傷ついた山吹(千咲)を気づかう義仲(翼)。娘役が甲冑姿で殺陣に加わる設定は珍しい。これぞ、強く凛々しいOSK娘役の面目躍如

 

巴御前に扮した登堂結斗(とうどう・ゆいと)。登堂はこれが初の女性役

 

 

第2部・ヒップホップ取り入れ、さらにパワーアップ

 第2部は新トップコンビが初めて臨む大型公演にふさわしく、新生OSKのパワー全開で一気に駆け抜けるレビューショー。翼&千咲の同期コンビを下級生の頃から見てきた麻咲梨乃が、2人の魅力を真ん中に、今春、初舞台を踏んだ最若手も交えた出演者30人全員を輝かせている。ショーでは常にダンス、ダンス、ダンスで畳みかけるOSKだが、今回は特にヒップホップ系のダンスを多く取り入れ、さらにパワーアップ。翼のソロで始まる幕開きでは、翼の大きな強みである伸びやかな歌声で観客に先制パンチを食らわせる。

 

翼のソロで始まる第2部の幕開き

 

ダンスで躍動する翼(左端)、華月(左から2番目)ら

 

キュートで艶やか! 娘役を率いて踊る千咲(中央)

 

 レビューショーでは場面ごとに色やデザインに統一感のある衣裳が用いられることが多いが、大阪・関西万博のテーマソング「この地球の続きを」など、それぞれ違う衣裳で躍動する場面が多いのもこの作品ならでは。それぞれの個性が生きるよう、衣裳やヘアスタイルも麻咲が指示したという。

 

第2部には桐生麻耶(特別専科)も登場

 

大阪・関西万博のテーマソングを歌う翼

 

客席降りの途中、テーマソングの歌詞に合わせ、同万博の公式キャラクター「ミャクミャク」を『こんにちは』させる翼(左)と椿

 

フィナーレは黒燕尾、黒ドレスで歌劇らしく。右手前の娘役は白藤

 

ラストは1930年から歌い継がれるOSKのテーマソング「桜咲く国」で華やかに。翼(中央)と華月(左端)

 

 

翼、口上で決意語る

 公演の冒頭、翼の口上があり、紋付袴の正装で登場した翼は、1922年の劇団創設から102年の歴史を誇るOSKのトップスターを務めることについて「このような大役を務めますこと、この上ない光栄なことと身の引き締まる思い」と述べ、「これからもOSKをより多くの方に深く、広く知って、愛していただけるよう、技芸に精進を重ねてまいります」と力を込めた。

 紋付袴の正装で口上を述べる翼

 

 翼は大阪府枚方市出身。2013年4月、「レビュー春のおどり」(東京・日生劇場)で初舞台。2024年9月のトップ就任後、10月の山口・岩国公演を皮切りに、2025年1月のシンガポール、同年3月の香川県東かがわ市、愛知県名古屋市など国内外でトップ就任記念公演を展開中。翼はまた、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年10月~2024年3月放映)にOSKの前身である松竹楽劇部がモデルとなった『梅丸少女歌劇団』のトップスター橘アオイ役で出演し、注目を集めた。

 

 

~~OSK日本歌劇団「レビュー Road to 2025!!」~~
21日=14時・18時
22~24日=11時・15時
料金9000円(全席指定)
申し込みはOSK日本歌劇団、電話06(6251)3091

公式サイト:https://osk-revue.com

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