世界最古の木造建築と世界最大の木造建築が今国内…
世界最古の木造建築と世界最大の木造建築が今国内にある。最古は世界遺産でもある法隆寺、最大はギネス世界記録に認定された大阪・関西万博の大屋根リングだ。
法隆寺は再建・非再建論争が今もくすぶり続けているが、いずれの説をとっても飛鳥時代の建物といってよいだろう。1300~1400年ほど前の部材が今も伽藍(がらん)を支えている。
大阪・関西万博のシンボルである大屋根リングは、閉幕後に一部を残す方向で話が進むことになった。当面は解体せず、跡地再開発の事業者が決まれば有償で譲渡するという。
法隆寺に使われているのは樹齢を重ねたヒノキだが、大屋根リングは集成材。一部とはいえ潮風の強い万博跡地で維持するには相当な苦労が予想される。
関係者の間ではリングの形状を維持して残すよう求める意見もあるようだが、木は腐るし変色する。維持費は莫大なものになるだろう。
飛鳥時代の大工が千年もつ建物を造ったように、現代の技術の粋を集めて伝えていく。遺産の継承が中途半端にならぬよう、それぐらいの気概で臨んでほしい。(増)