宝塚音楽学校の旧校舎を7年前、見学した…
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宝塚音楽学校の旧校舎を7年前、見学した。階段の右側が異常にすり減っているのに驚いた。下級生が(上級生に遠慮して)隅の方を登っていたからだそうだ。
下級生が上級生を見習い、尊敬するのはいい。ただ、公共物である階段を自由に登れない学校など聞いたことがない。「宝塚の伝統」に大きな違和感が残った。
宝塚歌劇団員が昨年9月に自殺したのは上級生(先輩劇団員)のパワーハラスメントも原因であったと劇団側が認め、このほど謝罪した。
このニュースを知って、あの階段が頭に浮かんだ。理不尽なパワハラや「いじめ」を受けても、下級生はじっと耐えなければならない組織風土があったのではないだろうか。
しかし、これは宝塚歌劇団に限った問題ではない。中学、高校の運動部をはじめ、日本社会で今も根強く存在する。「日本の常識、世界の非常識」の一つである。
昭和の頃は、耐えに耐える根性物のスポーツ漫画やテレビドラマがもてはやされたが、時代は変遷する。悪しき伝統は断ち切らねばならない。「昭和の常識、令和の非常識」である。(栄)