国原譜

東大寺のお水取りは今日から本行入り。二…

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 東大寺のお水取りは今日から本行入り。二月堂には毎夜大きなたいまつが上がり、参拝者でにぎわう。今年は局(つぼね)と呼ばれる堂内の聴聞スペースがコロナ禍の収束で4年ぶりに開放される。

 

 局は本尊が祭られた内陣を囲むように4カ所あり、自由に入ることができる。お水取りの行は毎夜未明まで続くが、局には人の姿が絶えない。

 

 冷え込みの厳しい堂内で、練行衆が唱える声明(しょうみょう)に耳を傾ける。本尊をたたえる「南無観自在菩薩」は「南無観」へとテンポよく短縮されて堂内に響く。

 

 練行衆の姿は内陣の格子の向こうだが、そのエネルギーは十分伝わってくる。「南無観、南無観」。帰りの車中でいつの間にか口ずさんだ人もいるだろう。

 

 平安時代に書かれた「七大寺巡礼私記」には、「世俗これを呼びて南無観寺と号す」とあり、声明の響きは900年も前の人々の耳にも心地よく響いたようだ。今は「南無観コーラス」とも。

 

 お水取りが始まったのは奈良時代。以来、一度も途絶えることなく続けられてきた。当時と同じ響きを味わえる幸せをかみしめたい。(増)

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