中学時代、ラジオが友達だった。夜は深夜…
中学時代、ラジオが友達だった。夜は深夜放送を聞きながら勉強していたのだが、ラジオの方が面白くて肝心の勉強に熱が入らなかったのは青春の甘い(後から苦くなったけれど)思い出だ。
その時から活躍しているラジオパーソナリティー、鈴木美智子さんの朗読演劇を大阪で聞いた。谷崎潤一郎作「春琴抄」と川端康成作「眠れる美女」。共演は歌舞伎の市川九團次さん。
若い頃とほとんど変わらない鈴木さんの美声に驚かされた。少女から老婆まで、見事に声で演じ分ける。劇の合間には関西人ならではのユーモアトークで笑いを誘った。
話塾「アナ・トーク学院」の学院長として後進の指導にも当たっている。教え子という奈良テレビの川添伊代アナウンサーもゲストで登壇した。
ラジオを聞いていると、頭にいろいろな想像をかきたててくれるから面白い。という意味のことを王貞治さんが語っていたのを記憶している。読書でいえば行間を読むことだろう。
情報化時代、映像から何から何まで提供されてしまうと、一方通行に。ラジオ、朗読といった「声の文化」は大切だ。(栄)