文化庁が京都市内に移転され業務を開始す…
文化庁が京都市内に移転され業務を開始する。省庁の全面移転は初。東京圏への集中是正を目指す地方創生策でもあり、その成果が注目される。
歴史遺産が数多く集積する近畿圏は文化庁の立地に好適。隣接府県も連携して移転効果を発揮、次につながる地方分権の先進事例としたい。
また今回は京都だったが近い将来、県内にリニア中央新幹線の新駅が開業すれば地方分権の次の担い手は奈良になる可能性もある。交通インフラの革新が県の未来図を塗り替える。
コロナ禍を機にオンライン会議が広がっているが文化庁移転では職員が京都〜東京を年間1400回往復すると想定、出張費を予算化した。
その点、移動時間を考えればリニアの価値はさらに大きい。かつては日本の中心に位置しながら、変遷の中で地理的なハンディを背負ってきた県が東西を結ぶ国土軸の真上に乗る。
リニアはJR東海の事業だが、県の将来を見据えた施策は知事選の重要な争点。一極集中ではなく分散自立と共存共栄が強みの近畿圏にあって、京都や大阪と伍(ご)していく県づくりの方策が問われる。(松)