世界最古級の映画ランキングといわれる雑…
世界最古級の映画ランキングといわれる雑誌「キネマ旬報」の2022年日本映画ベストテン1位に輝いた「ケイコ目を澄(す)ませて」を見た。しみじみとしたぬくもりがあった。
耳の聞こえない女性がプロボクサーとして戦っていく物語。というと、ハンディを乗り超える劇画的スポーツ熱血ドラマを連想しがちだが、そんな感動の押し売りはない。
不器用だが純粋なヒロインの葛藤や揺れる心、それを支えるジムの会長、スタッフ、家族。声高に叫ぶことなく必要最小限のセリフで表現する。
筆者は1924年からの歴代べストテンを可能な限り見ようという目標を持っている。「ケイコ目を澄ませて」は、かつての巨匠小津安二郎作品のような「静謐(ひつ)な美」があるのでは。
ベストテン外にも傑作は多いのはもちろんだが、旧作を見る上の指針として重宝している。時代の流れはあるものの小津作品のような名作は色あせない。
映画以外にもミステリー小説などさまざまな分野でベストが選出されている。自分の好きなジャンルでの「ベストテンあさり」をおすすめしたい。(栄)