大学時代、仏教学の講義で担当教授が「仏教…
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大学時代、仏教学の講義で担当教授が「仏教は宗教というより高度な哲学だ」と話したのを今でも鮮烈に記憶している。「葬式仏教」などという仏教に抱いていた先入観を払しょくさせられた。
仏教に「開眼」したのは、宗教評論家ひろさちや氏の著書に巡り合ってからである。多様で難解なところもある仏教の教えを分かりやすく伝えてもらった。
ひろ氏の入門書には、仏教をいかにして人生に生かすかのヒントがちりばめられている。「現在をしっかり楽しく」「背伸びしないで、ありのままで」心に余裕を持つことができた。
「法然を生きる」(佼成出版社)に兼好法師の徒然草三十九段が紹介されている。「お念仏を称えていとき、眠くなって念仏が怠るのをどうしたらやめることができるでしょうか」
法然上人は「目がさめたら、また念仏なさるがよい」。受験勉強時、この考えに共鳴して、ひろ氏は以来法然のファンだという。
「この世の生き方はどうだっていいのです。ただ極楽浄土に往生できればいい。それが法然の考え方です」。ひろ氏は4月7日に亡くなった。(栄)