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人生100年健やかに生きる~体育・スポーツとともに~(38) 北 良夫(93)

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「平城京新春マラソン」でランナーに給水する主催の「奈良市民走ろう会」のメンバーら=1月12日、奈良市の平城宮跡

 

「奈良市民走ろう会」の誕生

 田原さん今どこにいますか。1月12日(日)新年早々のマラソンイベントとして定着した「平城京新春マラソン」39回を迎えた今年の大会。天候にも恵まれて、地元県内から500人を含む、全国26都道府県から900人が参加。主催する奈良市民走ろう会の会員でもある、山下真知事も給水所に立って走者に飲み物を配布する役割を務めました。また平城京を地元とする小林茂樹衆議院議員も5キロにエントリー、完走して大会に花を添えられました。 あなたが立ち上げたこの大会は、着実に引き継がれて、来年は40回の節目を迎えるまでに発展しています。

 

マラソン文化の功労者

 田原幸男、1924(大正13)年生まれ。筆者の8歳先輩である。旧制奈良中学を卒業・44(昭和19)年陸軍に入営して一年後に終戦、復員して再就職。64(同39)年の東京オリンピック以来、急速に広がったマラソンに魅せられて、ランニングを生活に取り入れ、青梅マラソン出場をきっかけにして、全国各地で開かれる市民マラソンに参加。日本一周ランニング一人旅を企画して、3年半かけて完走するなどした。「この経験を地元でも」と、市民参加型マラソン大会開催の声を上げた。

 

 これがきっかけとなり、当時奈良市陸上競技協会の役員であった筆者は、出会うところとなった。67(同42)年公道を走る許可が出ない警察に、田原さんのアイデアがあって、冬季は通行止めの若草山(奈良奥山)ドライブウェイを使用、第1回奈良市民マラソンがスタートした。

 

 数年後、市民マラソンに参加した人たちに声を掛けて、週末定期的にランニングの練習会を開催。競技場として未完成の鴻ノ池の広場に集まって汗を流した。その後練習会に集まった仲間にクラブづくりの話を持ちかけ、76(同51)年「奈良市民走ろう会」を立ち上げた。

 

 会の代表に最年長の吉川才次郎さんを説得した。吉川さんは鴻ノ池周辺の住民で、練習場は犬を連れての散歩コース、誘って仲間入り、最年長の故を持って会長役を押しつけた。

 

 クラブの仲間も増えた81(同56)年、奈良新聞社から、大仏殿周辺を発着点にする、マラソン全国大会開催企画への誘いがあり、吉川会長を実行委員会会長に、会員も積極的に協力して30年。2010年奈良マラソン開催でコースが競合するため、30回大会をもって終了した。

 

 「市民走ろう会」が誕生して10年後、会の発展を期して1985(同60)年1月、平城宮跡を走ろうと全国に呼びかけて新春マラソンがスタート、来年40回を迎える。田原さんのランニングに懸ける思いは、県内に芽生えたランニングクラブの発展を願って、月例の合同練習会、各クラブ持ち回りでの開催を提案して仲間の交流、親睦を図った。

 

 田原さんのランニングへの情熱は、健康増進はもとより、明るく楽しく元気で過ごせる地域社会、さまざまな人が触れ合って、豊かに人生を歩むための輪を広げるところにあったと思う。

 

 【お知らせ】5月3日(祝)奈良市鴻池陸上競技場で第16回50mダッシュ王選手権大会を開催します。ぜひ一度参加して楽しんでください(詳細はならスポーツクラブホームページから)。

 

=第4土曜日掲載=

 

2025年2月22付・奈良新聞に掲載

 

 

 

 

 

 

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