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人生100年健やかに生きる~体育・スポーツとともに~(37) 北 良夫(92)

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奈良マラソン2024でランナー受付のボランティアをする「NPO法人ならスポーツクラブ」のメンバーら=昨年12月7日、ロート奈良鴻ノ池パーク

奈良マラソンの開催から15年 遷都祭の事業で開始

 年末の古都奈良の風物詩となった奈良マラソン、昨年12月7、8日に15回目が開催された。参加者総数18000人、近畿地区を中心に、北は北海道から南は沖縄まで全都道府県から参加、県内関係者は6980人、海外からの参加者も21カ国、430余人を数えた。天候にも恵まれてランナーはもとより大会を支える関係者、応援者にとっても気持ちの良い大会となった。

 

 「ならスポーツクラブ」は、第1回大会から出場者と共に、走らない会員は積極的にボランティアに参加、今回も2日間早朝から選手の受付や会場へのコース案内で大会を支えてきた。

 

 奈良マラソン発足のきっかけは、2007年2月に開催された東京マラソンだ。東京マラソンは「市民ランナーに銀座通りを走らせたい」と声を上げた小出義雄さんの一言でスタートしたと伝えられている。小出さんは、日本マラソン界の金メダリスト、高橋尚子さん、有森裕子さんを育てた名監督である。過去の日本のマラソンはエリートランナーと市民ランナーが公認コースを一緒に走るなどは考えられなかった。小出さんの声が東京都知事を動かし、日本マラソン界の歴史を変えるところとなり、全国にマラソンブームを引き起こした。

 

 その頃、奈良県では2010年に開く、平城遷都1300年祭事業の取り組みが進められていた。結成して間もない「NPO法人ならスポーツクラブ」は、事業の一環として、3年後の遷都祭を機会に、奈良で大規模なマラソン開催を働きかけようとの声が持ち上がった。クラブ仲間に東京マラソン事務局で活動する会員がいることによる提案であった。再三の会合を開いて、大会スキームを策定、出来上がった「奈良におけるシテイマラソン事業スキームの在り方」を、奈良陸上競技協会と協同して、遷都祭実行委員会事務局に提出して開催を訴えた。

 

 08年2月、県議会の代表質問において、マラソンの開催について質問した議員に対して当時の荒井正吾知事は、マラソン開催に条件が整えば、実行の意思があると表明され、一気にマラソン開催に向かって動き始めた。

 

 同年5月、奈良陸上競技協会を中心に「奈良マラソン開催準備室」がスタート、筆者は事務局長の大役を拝命、実現への取り組みは容易ではなかったが、新しい奈良の景色を想像しながら全力を尽くした。奈良マラソン実行委員会発行の「2019年奈良マラソン10周年記念誌」はその歩みの全容が詳細につづられている。それから更に5年、コロナの苦しい時期も創意工夫して乗り越え、15回大会には、ペアマラソンを新設して大会を盛り上げた。一昨年、知事に就任して実行委員会会長を務められることになった山下真知事は、スターターを務めた後、ランナーとしてフルマラソンに挑戦、完走されて注目された。大会のアピールと併せて県民のスポーツ振興、健康増進を諮る機会ともなった、全国では例を見ない光景である。

 

 過去15回、大会の特色、魅力を失わないで参加者の減少を防ぐため、様々な工夫を凝らしての取り組みが進められてきた。次回節目となる20回を目指すにも課題は山積していると伝え聞く。大会の継続には広く県民の支援協力は言うまでもないこと、特に走路となる沿道住民のご理解とご協力には、十分な配慮を欠いてはならない。=第4土曜日掲載=

 

2025年1月25日付・奈良新聞に掲載

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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