経済

菟田野から世界へ 奈良県宇陀市の「毛皮革」ブランド化目指しツアー 県外作家ら現地視察

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毛皮の縫製について質問する参加者ら=5日、宇陀市菟田野岩崎のFUR工房ますだ

 奈良県宇陀市の地場産業「毛皮革」製品のブランド化を目指す現地視察ツアーが5日、同市菟田野の関連施設で行われた。県外のアーティストや服飾系大学の助教授らが同市の担当者とともに縫製現場など3カ所を巡り、実際の毛皮革の製品づくりを見ながら積極的に意見を交わした。

 

 ツアーは、北陸を中心に活動する現代アーティスト兼アートディレクター、ケイ・アラブナさん(37)=石川県小松市=が主催。同市の「菟田野毛皮革製品ブランド化事業」の一環で、国内外に向けて、菟田野ブランドの毛皮革を利用した新商品・新素材の販路多様化と拡大を目指す。

 

 参加者は同市菟田野産業振興センターで毛皮革産業の背景や現状などについて説明を受けた後、縫製や鞣(なめ)しの現場を見学。動物ごとの毛皮革の特性や加工方法について質問が相次いだ。現地を訪れなかった参加者にもオンラインで中継し、意見交換した。

 

 石川県から参加した友禅染色画家の村上有輝さん(35)は「素材を余す所なく使用し、きれいに仕上げる高い技術は、菟田野の方の動物への感謝や敬いからくるものだと感じた。今後、自身の作品を介して表現したい」。滋賀県から参加した塗師(ぬし)の中川喜裕さん(34)は「レザーは普段からよく扱う素材だが、加工の過程を間近に見て、直接話を聞き良い学びになった」とそれぞれ感想を語った。

 

 ツアーに協力した毛皮縫製を専門とする「FUR工房ますだ」の代表・舛田登喜子さん(54)は「県外の作家の方にも広く菟田野の毛皮革の魅力、細かな技術面や素材のことを伝えていけたら」。鹿革の鞣しを専門とする「奈良産業」の代表・南浦良章さん(62)は「全国的な認知度を上げるのが長年の課題。携わる人が増えることで産業が活性化して、良いサイクルが生まれることを期待している」と話した。

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