YAMATO奈良が奮闘 強豪を次々撃破 - バドミントン「S/JリーグII」
チーム団結、3位入賞
バドミントンの国内最高峰リーグ「S/Jリーグ」への昇格が懸かる「S/JリーグII」。11月14~17日に滋賀ダイハツアリーナで開かれ熱戦が繰り広げられた。三菱電機、トヨタ自動車、JR北海道など大企業チームがひしめく中、クラブチームである奈良県勢のYAMATO奈良(柳原なな子、佐藤麗、保井優奈、今井優歩、葉山美衣子、福田海璃、高橋未羽、赤坂玲奈)が出場。昨シーズンの5位から、5勝2敗で3位入賞と大きく飛躍した。
キャプテン柳原 意地の「死闘」
YAMATO奈良は2023年2月にS/Jリーグ3で準優勝し同IIに昇格。同年11月に初参戦を果たした。そのときは下位のチームには勝利できたものの、上位チームには敗れ3勝4敗で5位。
「今年は優勝」の強い思いを胸に挑んだ2度目のS/JIIは、初戦はトップリーグから降格してきた東海興業、2戦目は昨シーズン2位(1位は昇格)の豊田通商。両チームとも男子はS/Jリーグで戦う強豪だが、大方の予想を覆してYAMATO奈良が上位チームを下し、2連勝する幸先の良いスタートを切った。
特に豊田通商戦の勝利はチームを活気づかせた。前回大会では1セットも取れずストレート負けを喫している。
第1ダブルスの今井・佐藤ペアは勝利。「ことしの実業団選手権でも敗れた因縁の相手。1セット目はリードした状態から追いつかれマッチポイントも取られたが、強気に立ち向かったのがよかった」と副キャプテンの佐藤は振り返る。
2戦目のシングルスの柳原は「死闘」と表現しても決して大げさではない激戦を繰り広げた。最初のセットは落としたが次セットを力づくでもぎとった。結果的には敗れてしまったものの、その戦いぶりはチームを一つにまとめた。
試合を見守っていた佐藤は、「柳原があそこまで頑張って(2セット目)を取ってくれて、次のダブルスにいい流れを作ってくれた」と、最後までキャプテンの責任を果たそうとする柳原の姿に胸が熱くなったという。
勝敗を決することになる第2ダブルスの高橋・赤坂ペア。「アップをしながらライブ映像を見ていたが、『お願いだから勝って』と思った」と話したのも正直な気持ちだろう。
高橋は「相手の1人が中学時代の先輩で、これまで一度も勝ったことがなかった」と言い、試合中は「終始緊張していた」。その一方で赤坂は「相手はレジェンド級。楽しまなきゃ」と最後まで笑顔を忘れなかった。セットを連取し勝利が決まった瞬間、高橋は号泣。笑顔の赤坂が寄り添った。「うれしかった。やっと勝てた」。
「この顔ぶれで三好(奈緒)監督の元で戦えるのは最後」との福田の言葉は全選手の共通した思いだったのだろう。けが、体調不調などが続き、「本来なら出してもらえない練習量だった」と話す福田は、3試合に出て2勝を挙げるなど練習不足を感じさせない戦いぶりを見せた。同様に全選手が自分の持っている力を出し切った。
「観戦した人が応援したくなるようなチームに成長できたと思う。今までで一番団結できた」(福田)。名門の北都銀行(秋田)から三好監督を招へいして3シーズン。その間、選手の顔ぶれもほぼ変わらずきた。今回のS/JリーグIIがその集大成となった。(有賀哲信)
2024年12月11日付・奈良新聞に掲載