OSK日本歌劇団 トップコンビ楊&舞美 新橋演舞場でサヨナラ - 感謝込め、笑顔の旅立ち
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OSK日本歌劇団「レビュー夏のおどり」が11日、東京都中央区の新橋演舞場で千秋楽を迎えた。同公演はトップスター楊琳(やん・りん)=横浜市出身、2007年入団=と娘役トップスター舞美りら(まいみ・りら)=京都市出身、2010年入団=のOSKラストステージ。4月の大阪松竹座、7月の京都南座と上演してきたトップコンビ退団公演のグランドフィナーレは『やんりら』(コンビの愛称)とファンやスタッフ、そして共に舞台を作ってきた仲間たちなど、すべての関係者が互いに感謝を交わす、この上なく温かな時間となった。
大阪、京都でも千秋楽の通常公演に続いて上演してきたサヨナラショーもこの日が最後。楊と舞美がアーサー王と王妃を演じたミュージカル「円卓の騎士」(2018年・2019年、荻田浩一作・演出)のナンバーから始まり、トップお披露目公演「STARt」(2021年、平澤智作・演出・振付)のデュエットダンス「僧侶と紫陽花」へと続く展開が、あらためて二人でつくり上げてきた表現の充実を印象付けた。
続いてステージ上には二人に替わって、桐生麻耶(きりゅう・あさや)=特別専科、前トップスター、舞美とともに娘役トップスターを務めてきた千咲えみ(ちさき・えみ)=東京都出身、2013年入団=をはじめ出演者全員が次々と登場。楊と舞美が主演した、たけふレビュー「OSKシンフォニー」(2017年、麻咲梨乃作・演出・振付)のテーマ曲を歌い踊る中へ、紫から白の衣装に着替えた舞美、続いて楊が加わり、客席にはカラフルなペンライトの波が揺れた。
ラストナンバーとなる劇団創立100周年記念公演の洋舞レビュー「INFINITY」(2022年、荻田浩一作・演出)の主題歌「青のINFINITY」終盤には天井からはもちろん、上手、下手の両サイドから大量のサプライズ桜吹雪が舞う、スタッフの愛が詰まった幕切れとなった。
最後の挨拶で舞美は、周りのすべての人たちへの感謝の言葉に続き、「入団して15年。自分がいやになったり、逃げ出したくなる時もたくさんあった。でも、それは今日、こんなにも素敵な、幸せな時を迎えるための道のりだった、と心から思う」と振り返り「大好きな大好きな『桜咲く国』から旅立つのはとても寂しいけれど、明日からは客席からOSKを応援し、愛し続けます」と時折、こみ上げるもので声を詰まらせながらも、力強く語った。
今年1月に今夏の退団を発表して以来、「舞台は見に来てくださる皆さんがいなければ成立しない」「公演の機会が与えられることは決して、当たり前ではない」とファンやスタッフ、関係者への感謝を繰り返し述べてきた楊。この日も数え切れない「ありがとう!」を贈り続け、晴れ晴れとした笑顔で「18年間、OSKの楊琳を愛していただいて本当にありがとうございます! 今後もOSKを、どうぞ、よろしくお願いいたします!」と叫ぶ姿に、満員の客席はスタンディングオベーションと途切れない拍手で応えた。何度目かのカーテンコールでは、本編のフィナーレでも歌った、昭和5(1930)年から歌い継がれているOSKのテーマソング「桜咲く国」をもう一度披露する場面もあった。
最後の楽屋出セレモニーは新橋演舞場入場口前で。整列して待ち構えた多くのファンの前で舞美から「楊さんの隣に居させていただいて、本当に幸せでございました!」と『愛の告白』を受けた楊が「突然の告白を聞いて照れております」と応じるなど、最後まで仲良しコンビぶりを発揮した二人は風船で飾られたオープンカーで劇場を後にした。