奈良勝手に住みます芸人サルインの高校野球 観戦記(上)
吉本興業所属の芸人で、高校野球好きのサルインさん(33)=奈良市在住=に、第106回全国高校野球選手権奈良大会を観戦してもらい、独自の視点で見どころや思いを記してもらいました。
吉本興業の奈良勝手に住みます芸人、サルインです。私は奈良の歴史や風土が大好きなのはもちろんですが、高校野球にもかなり愛情があります。夏の大会のみならず秋や春の大会にも野球場に足を運び、ラジオでひたすら奈良県の高校野球のことだけを話し続けリスナーを困らせる活動や、観るだけではなく西和清陵、高取国際、奈良北、奈良女子大附属の練習に一緒に参加する活動もしています。
NEW高校野球
私の愛は伝わったところで本題です。智弁学園の2連覇で幕を閉じた今季の奈良大会ですが、今大会は低反発バットが導入されて初となる夏の奈良大会でした。春のセンバツ甲子園では内野手のすぐ後ろに外野手が守っているという嘘のようなシーンが何度かあり、あまりの「NEW高校野球」ぶりに戸惑いもありましたが…。バットが変わって高校野球はどう変わったのか私なりの感想を共有させてください。
本塁打が大幅減
まずは長打に関する現実を数字でお見せしましょう。本塁打が昨年の29本から今季は6本と大幅減。三塁打は昨季の27本から16本に減り、二塁打は昨年の129本から半分以下の51本。いくらボールが飛ばなくなったとはいえ減りすぎです。ということは、長打が減った分を盗塁で補っているのかもしれません。そうとしか思えないので盗塁数を調べると、昨季が116で今年は110個。なぜかほとんど変化はありませんでした。でもよく考えると、長打が減ったからといって盗塁が決まりやすくなったわけではないですもんね。ということで大方の予想通り、かなり得点が入りにくくなっています。得点差もつかないのでコールドゲームが昨季の18試合から今年は10試合に減っています。多くのチームが9回まで試合をできるようになったと考えればこれは喜ばしいことといえるでしょうね。
外野手の守備位置は、春のセンバツ甲子園大会ほどではありませんでしたが、定位置よりも5歩くらいは浅いでしょうか。それでも外野手の頭を越す打球は少なく、低反発バットに変わったことを改めて実感しました。そしてうまくミートした打球が失速して、内野手へのライナーになるケースも増えました。
速球至上主義
今大会の注目投手であった橿原学院の沢辺投手や、奈良大付属の岸本投手のように140キロを超える直球がきてしまうと、本当に打球が飛びません。センバツでの極端な外野手の前進守備は投手がすごすぎるからこそ起きたわけですね。この結果から、低反発バットで勝ち上がるには速球でねじ伏せればよいという答えが出てしまいました。低反発バット導入前の高校野球も速球至上主義だったように思います。球が遅いと芯を外しても力づくで長打にされるので軟投派には限界があり、高校野球では最低限の球速が必要になっていました。結局野球はパワーなのか…と結論付けようと思いましたが、まだまだはっきりしたことは分かりません。夏の甲子園大会を観戦します。
サルイン
1990年12月生まれ。石川県津幡町出身。奈良教育大学に進んだことから奈良市に住むようになり、NSC(吉本総合芸能学院)を経て2015年にデビュー。「奈良勝手に住みます芸人」を名乗る。芸能活動とともに県内各地の高校野球部の練習に参加。ラジオ番組で高校野球について熱く語っている。