農家を悩ます野生動物を食肉に 奈良県宇陀市 - 命のことも考えてみよう【ふりがな付きニュース】
関連ワード:
近畿最大規模のジビエ活用施設が完成
野生のシカ(ニホンジカ)やイノシシを食用の肉に加工する獣肉利活用施設「UDA GIBIER FACTORY(宇陀ジビエファクトリー)」が奈良県宇陀市に完成しました。年間約1000頭を加工処理できる能力は近畿最大規模で、今年4月から地元の飲食店などに食肉の出荷を始める予定です。
宇陀市では田植えの直後にイネの苗を食べられてしまうなど、農業、林業への被害が多発しており、その対策として同市の猟友会がニホンジカやイノシシを年間約1500頭捕獲。そのほとんどを土に埋めていますが、ニホンジカは大きいものでオス130キロ、メス80キロもあり、穴を掘って埋めるのは重労働です。
同施設はこれらの害獣を加工して食肉を商品化し、地域資源として有効活用しようと作られました。今後、ふるさと納税の返礼品にする計画もあるそうです。
また、ニホンジカやイノシシは近年、全国的に増えており、生態系のバランスを守るためにも積極的に捕獲しなければならないのですが、ひとつひとつの命を、ただ、土に埋めてしまうより、感謝しておいしくいただくことにも大きな意味があります。
宇陀市農林商工部農林課の廣田晶一課長補佐は「農家を害獣の被害から守るのが捕獲の一番の目的ですが、命を捨ててしまうのは残念で悲しいこと。この施設で加工したジビエを、ぜひ、味わってみてください」と話してくれました。
新たに完成した「宇陀ジビエファクトリー」。
処理加工施設(手前)と処理後に残った骨などを微生物で分解、廃棄物を減らす減容化施設がある=宇陀市室生田口元上田口
処理加工施設内の食肉加工室=同
🔍調べてみよう
ニホンジカやイノシシの 肉はヘルシーな食材でもあります。
栄養成分や家庭でもできるジビエ料理のレシピなどを調 べてみましょう。
( 参考 ) 奈良県 では 県内 で 捕獲 され、 食品衛生法 などの 法令 を 守 って 食用 に 処理 されたイノシシやニホンジカの 肉 を「ならジビエ」と 名付 け、 地域資源 として 有効活用 を 図 る 取 り 組 みを 進 めています。