質問 「親が高齢になり、よくけんかになります。穏やかに会話するには?」 - 「我知(がち)」-お坊さんに聞いてみる(2023年11月16日)
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質問
「親が高齢になり、いろいろ忘れたり、我(が)が強くなったりでよくけんかになります。穏やかに会話するにはどうしたら良いでしょうか。会話自体苦手なので、会話される時に、どう意識すればいいか教えてほしいです。
(女性 40代)
回答 五條 永教(金峯山寺執行長)
【我知なヒント=年老いた親の姿は将来の自分自身の姿であると考えてみる】
年齢を重ねるにつれて、小さな文字が見えにくくなったり、物忘れが多くなったり、息切れがしたりと、若い頃と同じようにはいかなくなって、以前にも増して思う通りにならないことが増えたと感じている方は、読者の皆さまの中にも多いのではないでしょうか。
そう言う筆者自身の年齢は40代後半ですから、おそらくは、これから自分自身もそうなっていくのだろうと想像している次第です。ちなみに、筆者は最近、小さな文字を読むには、目から遠くに離さないことにはピントが合わなくなってきています。
さて、今回の質問についてですが、ご高齢となられたお父さまやお母さまとのけんかは、親子ならではのコミュニケーションの一つであるとも思います。けんかは、お互いの我がぶつかり合って起こるものです。親子だからこそ、真正面からぶつかり合うことができるのでしょうし、ぶつかり合った後も、何事もなかったように、普通に親子関係を続けることができるのでしょう。
しかしながら、それが多過ぎるというのは感心しません。そこで、次のようにしてみるのはいかがでしょうか。
年老いた親の姿は、将来の自分自身の姿であると、まずはそう思ってみてください。そう思うだけで、親に対して発する言葉の角(かど)が取れて丸くなっていくでしょうし、それに伴うようにして、親に接する態度も柔らかくなっていくことでしょう。
自分自身もいつかは老いていくのです。これからその現実を受け入れなければなりません。親の姿から、今のうちにしっかりとそのことを学んでおくべきです。そういう意味では、親とのけんかも貴重な経験であるのかもしれません。そうこう言っているうちに、けんかの数もほどほどに落ち着いていくことでしょう。
それからもう一つ、穏やかに会話するためにはどうすれば良いかということですが、「穏やかに会話しよう!」という、強い決意を持つしかありません。それはすなわち、相手の人の気持ちになって話す心掛けを、たゆまずに続けるということです。
言うのは簡単ですが、実際に続けるとなると、大変難しいことだとも思います。うまく会話しようなんて思って、すぐにできるものなら、世界中の人は皆、会話上手のはずです(笑)。
親があって、子があるのですから、ある程度は親の言うことを聞いてあげてくださいね。お願いしますね。父母から受けた恩は、天よりも高く、海よりも深いものなのです。
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【掲載日】
毎月第1、3水曜日「暮らし」のページ・奈良新聞デジタル