奈良市埋文調査センター秋季特別展 亀甲形陶棺を一挙公開

奈良市が所蔵する、「亀甲形陶棺」と呼ばれる古墳―飛鳥時代の特殊な形態をしたひつぎを一挙公開した秋季特別展が、同市大安寺西2丁目の市埋蔵文化財調査センターで開かれている。12月1日まで。
亀甲形陶棺は格子目文様をもつドーム状のふたの形が、亀の甲羅に似ていることから名付けられた。6世紀中ごろから7世紀中ごろまで製作され、岡山県や、奈良市をはじめとする近畿地方で多く出土。埴輪(はにわ)づくりに携わった土師氏との関係が指摘されている。
特別展には、赤田(あこだ)横穴墓群や秋篠阿弥陀谷横穴墓群など市内の出土品14点を中心に展示。全長1〜2メートルほどのひつぎがずらり並んだ姿は壮観だ。
一部は時代順に展示され、およそ100年間で棺の規模が小さくなり、脚の本数も少なくなるなどつくりが簡素化していく変遷が分かる。
亀甲形陶棺のつくり方を解説するほか、土師氏との関係がうかがえる資料も紹介。2023年度に新たに見つかった秋篠東山横穴墓出土のひつぎも公開している。
同センターの山口等悟技術員は「これだけ多く公開するのは初めてで、亀甲形陶棺について知ってもらえれば」と話す。
午前9時から午後5時開場。11月は土日休館(祝日は開館)。入場無料。
問い合わせは同センター、電話0742(33)1821。