【速報】西隆寺跡で塔の掘り込み地業 構造明らかに - 奈良
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奈良市埋蔵文化財調査センターは27日、奈良時代後半(8世紀後半)の尼寺、同市西大寺東町2丁目の西隆寺跡で、「掘り込み地業」と呼ばれる地盤改良の痕跡を確認したと発表した。過去の発掘調査で同寺の塔に伴う遺構として報告されており、同センターは「構造を明らかにすることができた」としている。
調査地は鎌倉時代後期や江戸時代の絵図から西隆寺の塔があったと考えられ、1971(昭和46)年に実施された発掘調査で、地盤を掘った穴に粘土などを入れて突き固める掘り込み地業の痕跡を検出していた。
同センターは5〜7月、民間の開発事業に伴い約550平方メートルを調査した。その結果、掘り込み地業は南北約6・5メートル、東西約5・7メートル、現存の深さ約70センチと判明。粘土とともに約20〜40センチ大の石を埋めていた。穴の中央部はさらに掘り下げ、粘土と瓦を埋め込んでいたことも分かった。
瓦の年代から掘り込み地業を施した建物は、西隆寺の主要伽藍(がらん)より遅れて8世紀末以降に構築されたと考えられる。
現場は既に埋め戻されている。