奈良でやまゆり園事件考える集い インクルーシブ教育を

2016年7月に神奈川県相模原市の県立障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた事件などを考える集会「やまゆり園事件を考える2023―国連総括所見の意味するもの―」(「やまゆり事件」を考える会奈良・奈良県障害者差別をなくす条例推進委員会主催)が23日、奈良市上三条町の市中部公民館であり、障害者や支援者ら約70人が参加。講演などを通じて障害のある人とともに生きる社会の構築のために何が必要なのかなどを学んだ。
同事件は元職員が同施設に侵入して入所者19人を殺害するなどした。集会は事件の翌年の17年から毎年開催しており今回で7回目。DPI(障害者インターナショナル)日本会議の尾上浩二副議長が「国連総括所見とインクルーシブ(障害者を包容する)社会への課題」と題して講演した。
総括所見は、障害者権利条約を批准している日本政府の取り組みに対して、国連の権利委員会が22年9月に公表。障害者を分離する教育を中止して「インクルーシブ教育する」を実現する国の行動計画を作ることや、本人同意に基づかない精神障害者の強制入院の廃止などの改善勧告を出している。
尾上さんは総括所見について、日本政府が取るべき緊急課題として「脱施設(精神病院も含む)」と「インクルーシブ教育」を挙げていることなどに言及。「総括所見は日本社会にはびこっている勘違いについて転換を求めている。地域からも総括所見を生かして、各自治体で脱施設・インクルーシブ教育の取り組みしてほしい」などとと話した。