清水・帝塚山大教授が飛鳥地域解説の著書発売

最新の調査成果も紹介
奈良市の帝塚山大学の清水昭博教授(考古学)が、飛鳥時代に飛鳥地域に建立された寺院について解説した著書「飛鳥の古代寺院」(萌書房)を出版した。各寺を訪ねて現在の状況やその場で考えたことをまとめ、最新の調査研究の成果も加えて分かりやすく紹介している。
清水教授は古代瓦が専門。2018年10月から21年1月まで飛鳥地域の寺を巡り、同地域の歴史・文化の啓もう活動を続ける「両槻(ふたつき)会」メールマガジンに連載「飛鳥古寺手帖(ちょう)」を執筆した。今回、発掘調査成果や瓦を中心とした出土品の情報を加筆して1冊にまとめた。
取り上げたのは、県や明日香村などが世界遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成資産候補、飛鳥寺や大官大寺跡、山田寺跡などのほか、廃寺を含めた18寺院。
現地で感じた「なぜ」にも言及。飛鳥の中心地、飛鳥真神原(まかみはら)に建立された飛鳥寺▽塔の対となる金堂を西に配置させた川原寺▽東を正面とした橘寺―など立地や建物配置の疑問に対し、それぞれ自身の考え方を記した。
文中の用語は太字にして巻末で解説。各寺院の現在の状況が分かる写真も多く掲載している。
A5判、186ページ。持ち運びも考えたサイズで、清水教授は「ガイドにして飛鳥の古代寺院を巡ってほしい。この本を基に研究も進めてもらえれば」と話す。1冊1980円(税込み)。