入浴着でQOL向上、手術痕への考慮など紹介 畿央大で公開講座
奈良県広陵町馬見中4丁目の畿央大学で25日、同大の第22回公開講座「入浴着にできること〜乳ガン患者のQOL(生活の質)向上から入浴着のユニバーサル化まで〜」が開かれた。健康科学部人間環境デザイン学科の村田浩子教授が講演し、乳がん手術を受けた知り合いの「温泉旅行に行けない」との一言がきっかけで開発した、「入浴着」の取り組みを紹介した。
入浴着は乳がん術後の女性が手術痕などを気にせず入浴時に着用できるもの。
2016年、村田教授を中心に、乳がん手術の経験者や学生らと開発をスタート。アンケートや市場調査から、入浴着の認知度が低く、すでに販売中のものは価格が高い点に注目。専門分野の「衣」「健康」「女性の心理」の視点から、乳がん術後女性のQOLの向上を目指した。
湯の中でも装着感が良い生地を探し、湯船にタオルを持ち込まない日本の湯の文化にも配慮、使い捨てできるものにして衛生面にも気を配った。
不織布に伸縮性のあるゴム糸を使用することで着脱を容易にし、前面にはギャザーを施して胸の左右差をカバー。湯の中で生地が浮いてこないようにし、背中を広く開けて洗いやすさも工夫。シンプルなデザインながらカラーバリエーションがあり、何よりも安価にできた。結果、「2022年度グッドデザイン賞」の受賞につながった。
舞台では、ゼミ学生が「入浴着」を服の上から着て紹介する場面も。村田教授は「乳がん患者だけではなく、年代や性別関係なく、誰もが着て気兼ねなく入浴が楽しめるように目指したい」と締めくくった。講演後はパネルディスカッションも実施された。