相撲発祥の地を全国に 宮城野親方が観光大使に就任

大相撲第69代横綱「白鵬」の宮城野(みやぎの)親方(37)の葛城市観光大使就任式が25日、同市南藤井の新庄文化会館マルベリーホールで行われた。就任式の前に宮城野親方による講演会も開かれ、集まった相撲ファンら約600人が耳を傾けた。
宮城野親方はモンゴル出身。大相撲で史上最多の幕内優勝45回を誇り、2021年の九月場所を最後に引退した。今年1月、断髪式を終えた宮城野親方は、葛城市相撲館「けはや座」の横にある「當麻蹶速(けはや)塚」を参拝。これをきっかけに市が観光大使就任を打診して実現した。
講演会では、宮城野親方がスーツ姿にオールバックの髪型で登場。日本で相撲を始めたきっかけや最後の九月場所での思い出などを語った。
宮城野親方が7歳の頃、モンゴル相撲の元横綱の父親と初代横綱若乃花関がモンゴルで対談。宮城野親方は若乃花関から菓子をもらい「それがなんと、うまい棒だった。この出来事がなかったら日本で相撲をしていなかったかもしれない」と笑顔で振り返った。
宮城野親方が当時の宮城野部屋に入門した際の体重は60キロ台で、「当時の写真を見たら、体が小さい子どもたちも夢と希望を持てると思う」と述べ、「初めての場所は負け越しでスタートした。消したい過去」と会場の笑いを誘った。
国は違うが、親子で横綱になるのが夢だったといい、「今は弟子を横綱や大関に育てるのが夢。目標を失わないためにも、子どもたちにはたくさんの夢をもってよく頭で考え、心を磨いてほしい」と呼びかけた。
最後となった九月場所については「6場所休んでからの全勝優勝。相撲を愛し、相撲に愛された人生だった」と締めくくった。
就任式では、阿古和彦葛城市長が「相撲発祥の地として日本全国に発信してもらいたい」と期待し、宮城野親方は「この一つの縁を機会にして、日本だけでなく世界に相撲を広めたい。相撲の聖地である葛城市に人が集まればうれしい」と話した。
この後、荒井正吾知事もお祝いに駆けつけ、3人で鏡開きを行った。