前御所市長の東川裕さんが27日、肺がん…
前御所市長の東川裕さんが27日、肺がんで亡くなった。63歳は早過ぎる。初当選時に同市担当記者だったので思い出は尽きない。
「(財政破綻した)夕張の次は御所」。2008年の初就任当時、市の財政は危機的状況だった。葛城青年会議所理事長などを歴任したとはいえ、行政経験のない市長を不安視する声が多かった。
「若造に何ができると言われる」と苦笑していた東川さん。しかし、行政経験のない若造は、しがらみなく大胆だった。市内各団体への補助金カットなど改革を進め財政再建を果たした。
母校・関西学院大学アメリカンフットボール部をコーチとして日本一に導いた緻密な指導力。私たち記者、市会議員、市民の区別なく平等に接する誠実さがあった。
「(伝統ある)御所の持つポテンシャルは大きい」が口ぐせ。生まれ育った御所に対する郷土愛が、5期にわたって市長を務めることのできた原動力だったのではないか。
地元御所実業高校のラグビーの話をすると、輝くスポーツ少年の顔になった。そこで、あえて書きたい。「東川さんは快勝しましたよ」と。(栄)