明日香村の国営飛鳥歴史公園が今年、50…
明日香村の国営飛鳥歴史公園が今年、50周年を迎えた。開園は1974(昭和49)年。石舞台古墳の南側に位置する祝戸地区が最初だった。
その後、石舞台、甘樫丘と整備が進み、高松塚周辺、キトラ古墳周辺を合わせた計5地区が飛鳥の歴史と魅力を伝えている。公園の面積は約60ヘクタールに及ぶ。
橿原市から明日香村に車を走らせると、市境をはさんで明らかに風景の異なる場所がある。明日香村では法整備などにより、歴史的な景観が国を挙げて守られてきた。
きっかけとなったのが明日香村の漢方医、御井敬三さんの「声の直訴状」だったことはよく知られる。「もしもこのままに放置するならば、明日香古京は近代化の浸蝕を受けて、幾ばくもなくその価値を消滅してしまうことでしょう」。
御井さんが思いの丈を吹き込んだテープが当時の佐藤栄作首相を動かし、いわゆる明日香法の制定につながった。
飛鳥歴史公園も一本のテープに始まるその流れの中にある。50周年を祝うだけでなく、飛鳥保存の黎明(れいめい)期を築いた人々や村民の努力に思いをはせる機会としたい。(増)