大型連休中、寝袋やテントを携えて行き交うバイクや自転車の旅人を多数見かけた。まとまった休みが取れるとツーリングに出かけていた身には胸が騒いだ。

　気ままなバイク旅ではさまざまな場所での野宿が多く、人里遠く自然の中で独り寝る時もあった。大きなトラブルはなかったが、偶然だという人もいることだろう。

　北海道でクマが釣り人を襲った可能性があったり、住宅地で目撃されたりが相次いでいる。自由さの隣には危険が存在し、人家の近くでも安心できないのを今さらながら思い知る。

　県内でも時おり、集落近くでクマの目撃情報があったりする。獣との好まざる接触は、決してひとごとではない。

　気候変動の中で、森林などの自然とともに獣の生態も変化しているのは間違いない。出かける先々の変容を知らずに安易に奥まで踏み入ると、取り返しのつかないことにもなりかねない。

　気まぐれに露天で寝るのは昔話なのかもしれない。ただ明確な目的がなく、資金に乏しい旅もある時期には楽しく、貴重な経験だ。だからこそより慎重な選択で無事帰り着いてほしい。(智)