奈良市の近鉄大和西大寺駅は鉄道ファンに…
奈良市の近鉄大和西大寺駅は鉄道ファンにとって“聖地”らしい。何本もの線路が平面で複雑に交差し、電車がひっきりなしに発着する様子の壮観さが人気だ。
しかし、今は重大事件の現場として、全国的に有名になってしまった。昨年7月、同駅北口前で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が銃撃され死亡したからだ。
事件後、安倍氏の慰霊碑の設置について賛否両論が起ったが、最終的に奈良市は当初の予定どおり現場を車道として整備。近くの歩道には色とりどりの花を植えた花壇が設けられた。
現場の風景は事件当時から一変。駅前バスロータリーも整備され、横断歩道を渡るにも危険を感じた以前の乱雑な状態とは隔世の感がある。
さらに、今月28日には反対側の南口に新しい商業施設がオープンする。イベントも開催できる芝生広場のほか、多彩な飲食店なども入り、これまでとは人の流れが変わる可能性がある。
将来的には駅の高架化も検討されている。同駅前は歴史を揺るがした現場として永遠に記録と記憶に残るが、その姿は今後も変わっていくだろう。(法)