今年3月に他界したカヌーイストの野田知佑…
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今年3月に他界したカヌーイストの野田知佑さんの著作を読み返した。その中に海外の川を旅した時、滞在先の図書館が旅人にも貸し出しカードを作ってくれるくだりがあった。
登録住所は「川原」。図書を預かる者が心を満たす読み物を求める人に、広く門戸を開く様子を好もしく感じた。
国内では多くが、所在地在住者かそこへ通勤、通学する人しか本が借りられない。地元納税者、企業・団体優先の考えからかもしれない。
県内市部の図書館も同様で、県内在住者とする所はまれだ。ただ五條市の図書館は、市内に国の関連機関があるなどの理由で制限を設けず、県外の人にも貸し出しを行う。ちょっと誇らしい。
県内各館のウェブページを見ると、利用者の利便性を高め、読書好きを増やす多様な取り組みがあり感心する。それでも誰もが好きな時、好きな場所で読みたい本と向き合える柔軟性が今少しほしい。
条件緩和にははた目に分からぬ事情もあるのだろう。だが観光や仕事などで県内に長く留まる人も含む欲求を満たせてこそ、真に豊かなまち、観光地と呼ばれるのでは。(智)