「救急指令、加害事故、出動せよ」―。8…
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「救急指令、加害事故、出動せよ」―。8日発生した安倍晋三元首相の銃撃事件で、奈良市消防局が公開した当時の無線データは午前11時32分9秒の消防本部の命令から始まる。
同35分15秒には「拳銃で撃たれ、現在CPA(心肺停止)状態と思われます」。安倍氏の危機的な状況が伝えられたが、市消防局の救急車は全て出動中だった。
同37分15秒、救急車ではなく消防車が先着。隊員が心臓マッサージなどの応急処置を施し、前の業務を終えて急行した救急車の現場誘導などを行った。救急車は平城宮跡でドクターヘリと合流し、橿原市の県立医大へ搬送された。
こうした救急車と消防車が連携した救急活動を「PA連携」という。救急隊の遅延が予想される場合に救命などの効果が期待され、市は2019年に導入した。
安倍氏は午後5時3分に死亡が確認された。尊い命を救うことはできなかったが、PA連携は一定の効果があったといえる。
報告された市会委員会ではPA連携強化に向けた人員充実などの要望があった。今回の件を市民の命を守るための貴重な教訓としてほしい。(法)