桜の季節が足早に通り過ぎていくと惜しん…
桜の季節が足早に通り過ぎていくと惜しんでいたら、まだ後に奈良の八重桜が控えていますよと教わった。咲くのは4月下旬以降になるという。
ただこの奈良の八重桜、県の花に選定され奈良市の市章にもデザインされるなど広く親しまれているのに、本物を見る機会は意外に少ない。
何しろ元となっているのは大正期に東大寺知足院で確認された一株の木。接木による地道な取り組みで増殖が図られているが、樹勢が弱く育てるのが難しいため容易には増えない。
知足院の木は2009年に強風で倒れ枯死。その後にバイオ技術でよみがえった後継樹が移植されたが、根付くまでまだ時間がかかるよう。
それでも奈良公園内には約700本が確認されているというから、探してみたい。また東大寺周辺では東塔跡西側や大仏殿入堂口の西側、転害門にも植樹されていると案内がある。
全国各地の県の花を一覧しても、奈良の八重桜ほど地域性、歴史性の豊かな花はほかに見当たらない。百人一首に詠まれたイメージとも少し違う気がする白い花。あと半月待って、ぜひ本物と出会いたい。(松)