東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立…
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東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ。万葉集に収録された柿本人麻呂の代表作といえる秀歌。
好みや感じ方は人それぞれだが、典雅さを備えた後代の和歌より、男性的と評される万葉歌の新鮮さに心をひかれる人も多いのではないか。
また時代が古い分、ミステリアスなのも万葉歌人の魅力。歌聖と称される人麻呂も持統朝を中心に活躍したとされるが史書には明記がなく、経歴などはよく分かっていないという。
冒頭で紹介した歌は狩りで宇陀地域を訪れた軽皇子(後の文武天皇)に随行していた人麻呂が詠んだものだが、ここにも幾つかの謎が潜む。
その一つが「かぎろひ」の正体。厳冬期の日が昇る少し前に東の空をほの赤く染める光とする説があり、幻想的な風景を求めて宇陀市では毎年「かぎろひを観る会」に人々が集う。
歌が詠まれたのは旧暦11月17日らしいが、今回は初めて2月にも開催。本日付掲載の写真を見て感動した人、またよく分からないと思った人も、次回はぜひ現地で万葉ロマンに触れてみてはどうだろう。(松)