【解説】奈良県橿原市議選 市政浮揚へ、提言注視
奈良県橿原市議選は現職14人、元職2人、新人7人が定数8人超の激戦を勝ち抜いた。安定した支持基盤を持つ現職らが手堅く票をまとめた一方、新人も政党公認や組織票の後押しで、今後の期待を受けて当選を果たした。
新しい顔ぶれは20~40歳代12人(22人の改選前は8人)、50、60歳代9人(同11人)、70歳以上2人(同3人)。当選回数では1~3回18人(同14人)に対し、4回以上が5人(同8人)。ベテラン議員の引退なども伴い、大きく若返った印象を与える。
市では喫緊の課題として市役所本庁舎の整備問題を抱える。市は2021年、地盤改良など事業費増を理由に老朽化した本庁舎の現地建て替え方針を白紙に。一時的に本庁舎機能を他の市施設に分散しようと、庁舎位置を「かしはら万葉ホール」に変更する条例改正案を提出したが、市議会は住民の利便性などを理由に否決。その後、各部署を既存施設に避難させて耐震性の低い本庁舎の解体が進められた。現在は市長室など一部を残して更地の状態になっている。
本庁舎位置を変更できない状況で、亀田忠彦市長は民間活力を導入した官民複合施設の現地建て替え方針を標ぼう。来年度以降に示す予定の計画案は、今後の市議会で審議される。このほか当選した23人は人口減少や子育て、福祉施策など山積する市政課題に向き合うことになる。新しい議会が市政浮揚にどんな提案、提言ができるか市民は注視している。
今回の市議選では2期目の亀田市長を支える勢力が市議会の過半数を占めるかが焦点となった。市長に親和的な勢力は自民、公明を中心に計8人。3議席を獲得した日本維新や新人3人を含む無所属議員の動向にも注目だ。(橿原支局・岡崎雅樹)