奈良県宇陀市で発見の古いダイズから育てた「奈良みらいダイズ」老舗伝統仕込みで“みそ”活用模索
奈良県宇陀市の農家で見つかった古いダイズから育てた「奈良みらいダイズ」を使って今秋、初めてのみそが完成した。同市内の奈良漬・みそ製造販売の老舗「いせ弥」が伝統の仕込みで協力した。
老舗「いせ弥」が協力
同市榛原笠間で米づくりを手がける南都銀行グループ「奈良みらいデザイン株式会社」のアグリ事業部が地主の倉庫に仕舞われていた古いダイズ20キロを2021年に発見。かつて多くの農家が田んぼの畔(あぜ)で効率よく栽培した名もない「あぜ豆」だった。遺伝子検査を経て県の植物遺伝資源リストに新規登録された。
発見から2年後の23年秋に収穫できたのは約200キロ。このうち約20キロを仕込んだみそが熟成し、つや良く仕上がった。いせ弥の清水誠代表(59)は「ダイズをまるごと使い、じっくり天然醸造する昔ながらの製法なのでコクがあります」と満足そう。
持続可能な農業を
奈良みらいデザイン株式会社アグリ事業部は中山間地域で「持続可能な農業」の確立を目指しており、ダイズの栽培と製品化も就農モデルを模索する取り組みの一つ。今年のみそは量が少ないため販売予定はなく、南都銀行株主返礼品などを検討している。
また、宇陀オーガニックビレッジフェスの体験ツアーでこのみそを使った豚汁を提供し、好評だったという。同事業部の吉村寛部長(52)は「今年もいいダイズが収穫できそう。製品化を軌道に乗せていきたい」と話した。