災害の歴史と教訓、後世に 奈良県十津川村で水害慰霊祭

奈良県十津川村は20日、同村小原の村役場住民ホールで、「令和6年水害慰霊祭」を開き、1889(明治22)年8月の十津川大水害以降2011年9月の紀伊半島大水害まで村内で起きた計6回の水害の犠牲者を悼んだ。
遺族のほか、明治の水害被災者が集団移住して開拓した北海道新十津川町の関係者、村内各大字代表、村議会議員ら計70人が参列。小山手修造村長は式辞で「後世に水害の歴史と教訓を伝承し、安心安全な村づくりを推進する」と誓い、水害から復興を成し遂げた先人に感謝した。
谷口秀樹・新十津川町長は2町村のきずなを語り、町の地方創生の取り組みなどを報告した。
今年から、猛暑を避けて式典を屋内で実施。同村小川の21世紀の森・紀伊半島森林植物公園に建つ水害慰霊碑の実物大レプリカを前に、参列者は白い菊花を手向けた。
紀伊半島大水害で両親を亡くした葛城市の森光春さん(61)は「まだ13年。時間は流れているはずなのに、両親への思いは止まっている」と心中を語り、「被災は、ある日突然他人事でなくなる。災害の記憶を風化してはいけない」と頻発する自然災害に危機感を強調した。