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長谷寺化主に就任した 川俣海淳さん(83) - ときの人

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 6月14日に総本山長谷寺化主(住職)と真言宗豊山派管長に就任。同15日には入山式が営まれた。同寺は全国に3千の末寺を持ち、その多くは東日本に集中する。関西地方からの化主就任は156年ぶりだという。

 

 京都府長岡京市の乙訓(おとくに)寺の次男として生まれた。寺を継ぐつもりはなく、高校で木造建築を学び、卒業後は建築士として就職。転機は25歳の頃、病に倒れ仮死状態になったこと。眠っている自分を上から眺める体験をし、死を客観的に感じたという。目覚めた瞬間、「一度死んだ命だ。お坊さんになろう」と不思議と心が決まっていた。仕事を辞めて得度し、長谷寺に入山、2年間の修行を経て僧侶となった。戦前の小林正盛・長谷寺第六十六世化主の「病は是れ仏道に入るの門なり」という言葉を見つけ、まさにこの事だなと感じた。自坊は西国第7番の岡寺(明日香村)。

 

 大きな観音様を祭る長谷寺ではお御足に触れて縁を結ぶことができる。「いつお参りに来られても良いように寺を美しく整備し、観音様と信徒様の橋渡しをすることが私の役目だと考える」と話し、「その役目を続けることが1300年に及ぶ古い歴史を持つ寺を次の世代へ引き継ぐことにつながると信じている」と強い使命感を持つ。

 

 花の御寺(みてら)と呼ばれる同寺は、ボタンをはじめ、近年は嵐の坂のアジサイも話題を呼んでいる。若い世代の参拝者も多くなり、つり灯籠の連なりや観音像の慈悲の姿に感動する人も多く見られたという。「長谷寺の景色や雰囲気は老若男女、国籍を問わず人を引きつける魅力にあふれていることを再確認した」と話す。 

 

 今後は「開創1300年を迎える2026年に向けて記念事業を行いたい」と話し、準備を進めていく予定だ。(伊藤波子)

 

 

 

かわまた・かいじゅん

 1941(昭和16)年7月、京都府長岡京市生まれ。 真言宗豊山派宗立専修学院卒業(第1期生)。財務執事、法務執事、長谷寺寺務長などを歴任。宗派外では明日香村教育委員会委員長などを務める。岡寺住職。乙訓寺長老。趣味は版画。毎年年賀状の干支(えと)を彫る。孫は3人。

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