【写スポーツ】繰り出す技、創造性 未来のアスリート育成 - パリ五輪の新競技 ブレイキン
26日に開幕するパリ五輪の新競技として注目されているブレイキン。ブレイクダンスとも呼ばれ、1970年代、米・ニューヨークのサウスブロンクス地区で、ストリートダンスとして生まれたスポーツダンス。選手は音楽に合わせて即興で踊り、優劣を競う。奈良県内での競技人口は決して多くはないが、昨年から県ダンススポーツ連盟が主催し、18歳以下の若年層を対象にした「バンビブレイキンカップ」などを実施。今年は3月23日に第2回大会を行い、認知度向上や選手の育成に努めている。
通常1対1、または2対2、もしくは複数のメンバーで構成するチームが踊りを見せ合い競う。他のダンススポーツと異なる大きな点は、音楽を担当するDJと進行役のMCが存在すること。さらに音楽はDJが選曲し、事前に楽曲は知らされない。選手は流れる音楽に合わせ瞬時にダンスを披露する。リズムに合わせ高度なパフォーマンスやアクロバティックな要素を盛り込み、創造性が問われる採点競技だ。
ブレイキンにはさまざまな動きがあるが、大きく分けるとトップロック、フットワーク、パワームーブ、フリーズで構成されている。これらを基盤に独自の動きを加える。身体能力の高さが要求されるが、音楽や表情、見せ方など、表現力や新しいものを作り出す創造力、駆け引きも重要だ。中でもパワームーブは背中や肩で回転するウィンドミルや頭で回転するヘッドスピンなど、回転や跳躍を伴う技が多数ある。これら高難易度の技は、際立った見どころと言われている。
県ダンススポーツ連盟ブレイキング部長の髙橋和也さん(39)=橿原市在住<ダンサー名 TENGROCK>は現役ダンサーとして活躍する一方、普及活動にも力を入れ、自ら小中学生らを対象にしたスクールを開設。また「競技の裾野を広げるには、気軽に参加できる大会が地方にも必要」との思いで「バンビブレイキンカップ」を企画した。2回目の今年も「個性が際立ち、選手と観客が一体なり、楽しんでもらえた」と振り返る。
パリ五輪に出場する半井重幸選手(22)は開会式で日本選手団の旗手も務める。あるインタビューで「カルチャーとスポーツを融合したパフォーマンスを駆使し、唯一無二の存在になりたい」と答えていた。競技の魅力を最大限発揮し、認知度アップに期待したい。
そんな中、未来のトップアスリートを目指す選手らを支える髙橋さんらの活動も見逃せない。ストリートカルチャーから生まれたブレイキンの本質は遊び心と見る。選手はアスリートであり、なおかつアーティストという思いが強いと感じた。(写真・文 牡丹賢治)
音楽に合わせて即興で踊る髙橋さん。技術や完成度、独創性などが競われる。背中や肩で回転するウィンドミルや頭で回転するヘッドスピンなど高難易度の技はブレイキンの際立った見どころだ=写真は特記以外、橿原市の市立中央公民館
高みを目指し技を磨く選手。1対1でダンスバトルする対戦を再現してもらった。手前右、多湧生さん(中2年) 同左、森本虎大郎さん(小6年)
髙橋さんらの指導で練習に励む選手
自らの動きをチェックするため、練習風景を映像に残す
バンビブレイキンカップ
2024年3月に開催された第2回バンビブレイキンカップ。試合終了後、記念写真に収まる参加者ら=大和郡山市の九条スポーツセンター
◆第1回バンビブレイキンカップ(2023年4月23日、三郷町スポーツセンター)
U―12(小学生の部)優勝 中谷心乙さん(MITO)
U―18(中高生の部)優勝 多瑛生さん(YOSEI)
◆第2回バンビブレイキンカップ(2024年3月23日、大和郡山・九条スポーツセンター)
U―12優勝 中尾那由多さん(NAYUTA)
U―18優勝 多瑛生さん(YOSEI)
奈良県ダンススポーツ連盟 事務局
住所:天理市庵治町431ー48
電話:0743(64)0909
2024年7月24日付・奈良新聞に掲載